
もうすぐ試写会とか始まる実写版『蟲師』のオダギリ・ジョー、個性派俳優として私も大好きですが、彼こそは平成仮面ライダー第一号ってことはよく知られてますよね。
藤岡弘に始まる元祖昭和の仮面ライダーは、最初の13話までは石森章太郎の原作に近いダークなテイストを持っていたので、私らみたいな小六のガキにしてはSF少年で渋好みな連中には好ましかったんですが、もともと子供番組として作られている関係上、藤岡氏の怪我による主役交代の折にドバ〜ッと子供向けタッチになってしまいました。
以後テレビだけでシリーズが8作品ほど続きますが、どれも目的のハッキリしない悪の組織が出てきて主人公がチカラを授かって…というパターンは変わらず、設定も各話の展開も子供向け特撮の印象がぬぐえません。昭和最後の『BLACK』は少しテイストがシックになってた様ですが。
が、そうした不満をもった世代が制作にかかわったのが平成ライダーの誕生につながったのか、『仮面ライダークウガ』はそれまでがウソみたいに凝った設定になってました。
一番「をををっっっ!?」って驚き、それがきっかけでクウガを観るようになったのが警察の存在。いや、警察があるのは当たり前なんですが、それまでのライダー世界ではいないも同然、いや、いなかったんです。
わっさ〜っと毎週怪事件が起こってるのに警官が駆けつけたことがないのが仮面ライダーだったんです。ところがクウガでは警察、いや警察の組織そのものと協力して戦うんですよ。だから彼が乗るバイクは最新型白バイのカスタムタイプという設定。これだけでも見事でしょう。
しかもなんと!劇中ではひとことも『仮面ライダー』とは言わない。技の名前も言わない。ぶったまげましたね。
これは意識レベルの根底からくつがえったスゴイ革命でした。
主演のオダジョーも警察の敏腕刑事を演じる葛山信吾も自然体の演技。昭和ライダーみたいな子供向けの大げさな演技もないし、その後の平成ライダーの不真面目な台詞もつまらないおふざけギャグもないんです。だから見るシーンによっては刑事物のドラマに見えるほど。
ほかにも「いやあ、ほんまによおやってくれました」とスタッフの手を取って感涙にむせびたいほどの画期的作品となりましたが、その後はやはりスポンサーでも頭の堅い偉いジサマ連中の無理解に圧されたか、今ではかつての昭和ライダー的展開になって行きます。
ぶっちゃけた話、とにかくオモチャを売らねばならないのは宿命。
この辺はガンダムと同じなんですが、プラモと違って模擬格闘というか、私ら初代のライダー世代が“ごっこ”を基本とする遊びしか知らなかったためか、グッズはおおむねライダーの装備品なのが苦しい。
そして1971年以来36年も連綿と続くオモチャが変身ベルト。(これ、全部集めてるコレクターいるんでしょうねえ)昭和の頃はせいぜい豆電球で光り、モーターで何か廻すのが精一杯でしたが、今ではハイテクのおかげで何通りも音は鳴るし光も多彩だし、スイッチも無接触タイプやら可能になったもんで何でもアリです。
『龍騎(りゅうき)』と『剣(ブレイド)』ではカード入れ、『555(ファイズ)』では携帯電話、『響(ひびき)』では楽器などアイデア出しには毎回涙ぐましいほどの努力が見られますが、今放映中の『電王(でんおう)』ではなんと定期入れ…というか、SUICAやICOCAみたいな交通機関用非接触型自動改札システムICカードをベルトにかざして変身するんですな。
(;´д`;)いたましや…
しかも変身するときの音が電車が発車するときホームで鳴る電子音を模したもの。
(;´〜`;)………
また変身後の姿がこれまでにないくらいブサイクで…(T△T) 昭和ライダーもあとになるほどヘンチクリンなデザインになっていきましたし、そろそろ平成シリーズも潮時かな?
ちなみに写真はその“仮面ライダー電王”。けったいな目玉のデザインは桃が割れたときのイメージだそうで。
なんで桃?という理由は仮面ライダー電王公式サイトでご確認下さい。
ただしですね、主人公は超へなちょこで、そこへ異世界の化け物が憑依することで人格が変わって強くなるという設定は悪くない。そしてこの化け物の方がデザインがかなりイイ。
しかも憑依するのがいろいろいるので(現時点では二人)主役を演じる役者は多重人格としてそれぞれを演じ分けないといけないのでがんばってますね。
たぶんこの後も数タイプ出てきそうなので、彼にはますます演技力が必要になってくることになります。これには大いに期待したい。
しかしそれにしてもオモチャ売りたしのためとはいえ、毎回なんやかやとメカが登場しますが、今回は時を越える電車。ところがこれ、もうほとんどそのあとに放映されている『◯◯レンジャー』に出てくる巨大ロボットとおなじで、中からぐっちゃんぐっちゃんワケの分からん兵器が出てまいります。
しかもこの電車を主人公が操るのになぜか電車の中でバイクにまたがる。
ヽ(´∀`*)ノ もお、やけくそとしか思えません。こーゆーのがなかったら、もしかしたら平成ライダーたちはもっともっとイイ作品になっただろうに…あ〜、もったいない。
ちなみに映画『仮面ライダーThe Fast』はこの辺をもう一度ちゃんとしたくてこしらえたという感があります。しっかりした舞台設定と共に、なかなかお話がよくできてるんですよ。
もしかしたら、ちゃんとバイクによるスタントアクションをした“ライダー”はこの作品だけかも。ただし、予算が足りなかったんだなあ…と裏事情をおもんぱかって涙が出そうになるのは同じです。
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