“二眼レフ”が静かに人気を取り戻してるのだそうな。
特に二眼レフは操作機構が異なってるだけで写真を撮る目的を果たすだけなら他と同じなので、わざわざデジタル機器化される事もない上に、フィルムはブローニーと呼ばれる巻物のような作りのもので、その装填にはけっこうコツが要るし、余程慣れてないと速写には向かないワケでして。
上下に並んだレンズ、ひとつは撮影用、もうひとつはピント合わせのためのもの。交換レンズなんてないから固定焦点でズーム機能もない。
とにかく、定点で写真を撮るためのカメラ。でも35mmよりずっと大判サイズのフィルムに投影される像が正方形なのが意外なほど見慣れた世界を違えて見せてくれる。その構図には縦アングルも横アングルもないんですね。
なにより、操作が何もかもがメカニカル。ピントを合わせるには、まず本体上部にある蓋を開かねばならない。そこには焦点用のレンズが投影した光景が磨りガラスに映し出されている。これがなんでもかんでもクリアかつシャープな映像を見慣れた現代では、なんとも幻想的にすら見えてくる。
実はウチにもあったのですよ、父親が遺した二眼レフが。でも36歳で早世した父が存命のうちに、三歳にもならない私がオモチャにして壊してしまったらしく、そのまま私が物心付いてもオモチャとして遊んでいた。
だから撮ったこともないのに、蓋を開けば前にある風景が映る、あの独特なファインダーの光景だけは知っているのです。
言い方はアレですが、二眼レフは構造上、遺骨を抱くようなポーズで構えるのです。
だから基本的に視点が下がり、見慣れた風景もなぜか異なった印象を受ける。意識しなければ常に目の高さで撮ってしまう一眼レフと異なり、どこか子供の目の高さに近くなるからでしょうかね。
しゃがんで撮影するとたちまち地面が近くなる。犬猫や虫の視点にすぐに到達する。一眼レフで同じようにしようと思えば、昔なら専用のL字型のファインダーを取り付けるとか、今なら背面のモニターを動かせるタイプでないと地面に這いつくばるしかない。
這いつくばるしかないのですが、私は昔からスーパーローアングルが大好きで、アナログ時代はアングルファインダー(プリズムが入っている筒状の器具をファインダーに取り付け、逆潜望鏡のような使い方をする)が欲しくて欲しくてたまらなかった。
デジタルカメラになってようやく手に入れたけど、どこに行くにも一人ではなかった私は、連れに気を遣って地べたに這いつくばってじっくり構えてるヒマもなく、あまり活躍させられなかったんですな。
そして今、背面モニターがあっちゃこっちゃ動かせるカメラを手に入れた私は、独りぼっちになった代わりに機会さえあればカメラを地面に置いてみては、常ではない視点を探して悦に入っているわけです。
二眼レフの再入手も、ワンカットにコストのかかる銀塩フィルムももう無理だが、地べたに這いずって撮ったデジカメの画像を正方形にトリミングしてみたら意外に“あの感じ”が得られるのではなかろうか───
虫は超苦手ですが、ナニモカモ地面から出てくる春。そんな地面と仲良くなれるカメラ。それが二眼レフ。
ヽ(´∀`*)ノ ほな、また。
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コメント
こんにちは。ずっとご無沙汰でございましたA・Pです。
二眼レフですが日本のマミヤCシリーズはレンズ交換可能な二眼レフでした。広角55mmから望遠250mmまであったのですよ。
いかにもカメラ、といった堂々とした姿ですが大きく重いw
一時期手を出そうと考えてましたが、買わずに終わりまして結果的には正解だったと密かに思ってます。
投稿: A・P | 2021.04.20 20:16
A・Pさん、こちらこそ超ご無沙汰な上に今ごろ(11月末)コメントを下さってることに気付きました
申し訳ありません!
なにせコッチ、訪れる方すらおられないネットの僻地でして。なのでコメント自体があるとは思ってなくてノーチェックなのです。
なのでもし、次回コメントを戴ける時はぜひ、Twitterの方へお願い致します。
そちらなら速攻でリプを返しますし返せます。
よろしくお願いします。<(; _ _ ;)>
投稿: よろづ屋TOM | 2021.11.25 03:36