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2020.10.01

名月や ひかり滴る きざはしに たれの迎へを まつ輝ぐ夜ひめ


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 お月さんや夜のイベントが主役の10月になりました。以前は人物から描くか、背景と同時に進行てのが定番のプロセスやったんですが、最近は背景を油絵風ツールでコテコテ描くのが妙に楽しいのです…。

 10月は季節イベントも多くてお題的にもイメージを膨らませ易いよい季節の筈なのに、どうも毎年イマイチなのしか描けなくて腐ってたんですよね。理由は簡単、ウケを狙ってばかりでそのウケも滑りまくってたから。
 でも今年は明快です。《月の光が描きたい》、これだけでしたから。

 てことで構図の模索を始めたけど、やはり看板娘の顔は描きたいのです。ちうか女の子を描けないのなら、絵なんて描いててもちょ〜っとも楽しうないですもんね。

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 でも背後にお月さんを描いて、その光源に対して顔を向けるとなると当然ながら後ろ頭、ギリギリで後ろ向き気味の横顔しか仕方ないんですな。
 この微妙な角度に思いのほか苦戦して、数十回は描いては消し描いては消し。結局本番描きも気に入るまで十数回描き直し、部分修正も幾たびか。我ながら下手さに辟易しましたが、なんとか良い表情をキャッチできたので着色段階へ。

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 今回は脳内に構図ができてたので、娘さえキマればあとは随分スムーズでした。むしろ塗り込みが楽しかった♪
 意外になかったのが夜、夜中の月明かりでの寺の石段の資料画像。まあ不気味ですし、なにか事情でもない限り近寄るものでもないし、まして写真を撮ってUPする人もいませんわね…
 て事で、満月の月光下でのあの独特な明暗のコントラストと色味を必死で思い起こしながら描いてゆきました。

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 脳内で目標としたのは大好きな版画家、川瀬巴水先生の月明かりのなんともいえない叙情的な風景の数々。心地よい夜風が吹いてるのが明らかに判るその空気感、誰ひとり人物が描かれていないのに聴こえてくる息づかいの不思議。そしてどこまでも静寂でなんぴとたりとも侵すべからざる聖なる空間。
 ───あの藍色の月夜が万分の一、いや億分の一でも描けたら───そう願いながら描いてゆきました。

 背景としての下絵はざっくり。細かく描くと枝葉末節に囚われやすい自分の性格上、狙った印象から遠ざかる気がしたのです。もう、そのまま油絵風ツールでコテコテっと雰囲気を作る事に腐心しました。
 お月さんは川瀬巴水先生に倣って黄色い丸を置いてみました。でも、いざそのままの色で置いてみると、看板娘を照らす月光も黄色くなってしまう。それはチト思い描くものとは違うな、と考え、お月さんは夏の黄色ではなく、秋の初めの少し青みを帯びた色味にする事にしました。

 そして塗り込み、描き込んででいきます。
 ある程度カタチが決まってきたので実写のお月さんを加工し、より誇張した大きさで配置してみると、真っ青なのも和風な背景には合わん事が判ってきたので、微妙に調整を繰り返して、私が思うところの《煌々と輝く月》のイメージに持っていきました。
 さて夜空ですが、川瀬先生の版画を眺めてると、叢雲が懸かってる方がお月さんは活き活きしてるような気がしました。実際、夜空ってのはマダラなもんで、それが存外不気味な印象を与えてるように思うのです。なので松の植え込みも加えました。そう、月夜って不気味なんですよね。

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 ここで出来上がった気がして、一旦アタマを冷やすことにしました。
 
 で、ひと晩置いて冷えた頭と目で俯瞰の視点を取って観ると───
 石畳がフラット。さらに月光ならではのコントラストが出てない事に気づきました。さらに、お月さんが黄色っぽいのにキャッチライトが青いまま、とか。やはりニンゲン、テンション上がったまんまで判断してはいけませんね。
 そしてさらに加筆、加工をくりかえして………

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 完成となりました。修正点はもっぱら石段の描き込み。ガタガタした不規則な素材感、踏み面の摩耗した部分は平面っぽく削れて反射率が高い、さらに石段ごとの陰、そして凹んだ“吹きだまり”に集まった枯葉。
 最後に月光のキャッチライトに“黄味”を加える修正。


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 ───さて、今更ですが───月夜とはいえ真夜中に彼女は独りで何でこんな場所に腰かけてるんでしょうねえ。ははははははははは
 理由は分かりません。ただ、私は彼女を描いているうちに《かぐや姫》と呼ぶようになってました。


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 ヽ(´∀`*)ノ ほな、また。

 

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コメント

ひょんな検索からこのサイトに出会い、素敵なイラストの数々に心を奪われました。
ギャラリーの1998年のイラストからこちらのイラストまで、どれもキャラクターがすごく生きていて、魅力的で、とても素敵です。
可愛いイラストを拝ませてくださり、ありがとうございました。

投稿: 通りすがり | 2020.10.16 01:53

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