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2020.06.01

雨あがる。たぶん、もうすぐ。

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 絵を描くなら光と影を捉えたい、風景が加わると水と風が描きたい。もう長い間、私の常の大目標はこれに尽きます。いまだ、遙か彼方でいつまで経っても近づいてきませんが。


 今回のテーマは『雨だれ』。2014年でもう6年も前のこと。この年、大船鉾が復活したのを契機に、祇園祭が戦前のように前祭・後祭(まえまつり・あとまつり)に戻ったので、大船鉾の鉾立(ほこたて)が目当てで人出の少ない早朝からイソイソと出かけて首尾よくカメラに納め、午後からは足の向くままうろついておりました。

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 すると超晴れ男の私には珍しく、哲学の道あたりで突然の大雨に出逢いまして。でも京都の夏の大雨はなんとも滋味豊かというか、雨宿りに法然院の門にとびこんだものの、思わずその雨脚の美しさに見とれてしまって。
 以来、六月の看板娘にはこの光景の空気感を取り入れたいとずっと想いながら今に至ってしまいました。

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 てことで今月の看板娘はロングショット扱い。むしろ古い家が主役…でもゼロからこんな複雑なものなど描けるわけもないので、探し出した実写画像を下絵に敷いてコテコテと描き上げてゆきました。構図に必要な箇所は大元画像のごく部分だったので暗いわ粗いわ…

20200518-202638 邪魔な柱は取っ払いました。ほっほっほ♪実際、開放的な縁側になったでしょう?次にこの家に合わせて『6月娘』を先にノーマルな塗り方で描き上げ、この元の画像に借り配置した上で完成形の演出効果を思い浮かべつつ、プロセスを進めてゆきました。
 でも子供の頃に遊びに行った親戚の家、今の家を建て替える時に半年ほど住んだ大きな平屋の古い家の様子を思い浮かべながらだと、意外に素材感やディテールも憶えてるものなんですねえ。
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 板張りの感触、障子紙に映る物影、ちょっとボコボコした古畳の様子、軒下や床下のなんだか怪しい気配、庭先の植栽のざわめきなどなど…むしろ元画像が粗かった事が脳内補填にはよかったのかもしれません。
 そうした事を懐かしく思い浮かべつつ、ちまちまと細部を描き込んでいって。板の間や雨ざらしになる柱などにウェザリングしてゆくのが楽しいのはプラモデルのジオラマなどと同じですねえ♪ベタ塗りの無機質だったものが、たちまち刻を経て物語を持った“存在”に変わって行く。

 そんなホコリとカビ臭さがツーンとくるような古い家に大粒の雨が降る。
 実は天気雨的などしゃ降り状態と、その際の全体的に被る緑色の世界観、そこに射す陽射しに関しては最初にざっくりとテストしておいたのです。


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 ジャジャ降りの描写は2016年のこの絵の時に試行錯誤して作りだしたものを流用。絵自体もいまなお気に入った作品です♪

 さて、家のディテールができたら演出効果の番。いろいろな効果を試しながら加筆したりできるのはデジタル絵ならではの強みですね。歴史的な名画を生み出した画家たちは「しまった。もっと全体に◯◯すべきだった…!」と思ったら、やはりまるごと描き直したのでしょう。
 こちらはああでもない、こうでもない、と元をキープしたまま改良したり、また戻してみたり。

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 最終的にこの記事トップの画像■■《クリックすると別窓で開きます》■■に、部分をクローズアップするとこうなりました。
 屋根瓦を叩き、縁先にも吹き込んできてひとしきり辺りをずぶ濡れに濡らした後、ムッとした熱気を残しながら次第に弱ってくる雨脚の中にギラリとした夏の陽射しが戻ってくる、あの感じが描けてたら今月はヨシとしたいです。

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 最後に6月娘をズームアップで。

 ヽ(´∀`*)ノ ほな、また。今月もよろしうに♪


 

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