四月。この素敵な季節に外出規制が掛かると聞いたら、去年の自分はどう言うでしょうか…
テーマも見つからなくて、今まで出かけて撮った春の写真を来る日も来る日も見直してはイマジネーションが湧くのを待ってました…が、思いつくのはありきたりの、まるでスナップ写真。それもよさげなシチュエーションで良いモデルさんを見つけてこっそり自然な表情を撮ろうとカメラを構えたら気付かれ、なんかバツが悪いわ変に緊張するわなまんまで撮った写真みたいな不自然さが目に付く───そんな絵しか思いつかなかったのですよ。
そんな時にある写真が出てきまして。それをきっかけに今回のモチーフが一瞬にして浮かびました。
こういう場合に描ける絵は、ワタシ的にすごく気に入った絵になるのです。まずは、降りてきてくれた四月娘を急いで捉まえました。
正直言うとメインビジュアルとなるのは、彼女の前にあるヘタクソな楕円。そして三月に描いた絵がまさに先に言ったような「バツの悪い不自然な絵」やったのと、コロナウイルスによる外出自粛と花散らしの雨続きとの天気予報の関係で、もしかしたら今年は桜に逢えないかも…ということで今月も桜、それもちりざくらが描きたくなりました。
だからまず背景から決めて行きました。
2017年2月からTwitterで始めた《#1日一点とにかく描く》タグでほぼ毎日描き続けたお蔭で、人物の出来映えは大体ながら把握できるようになったと思えるし。
一応、元となる場所の実写画像はありましたので、それを下絵にしてひたすらザクザク塗りまくって“写生”。この方法もようやく慣れてきた感じです。
今回もやはり思うのは“桜の色とはなんでこんなに微妙で難しいのか”ですねえ。桜色とは言うけど、薄いマゼンタでは結局桜にならない。実写からスポイトで拾ってみると薄い薄い紫やグレーだったりします。さりとてそのまま塗ってもやはり桜にならない。まるで魔法です。
前と異なるのは川…実は琵琶湖疏水なのです。流れはあるけどこの場所では川のように透明ではなく、お城のお堀のような感じ。次の一枚をご覧戴くとお分かりのように柵で見えなくなるんですが、水面に映る桜や空の反射を描いていないと水があるように見えないのです。
さてその主役。もうお分かりと思いますが、マンホールのフタなのです。2018年、満開時を過ぎてワッサワサに降り積もった桜の花びらがまるで絵の具のようにマンホールの凹部に“溜まった”光景に出逢ったのです。

さてその主役。もうお分かりと思いますが、マンホールのフタなのです。2018年、満開時を過ぎてワッサワサに降り積もった桜の花びらがまるで絵の具のようにマンホールの凹部に“溜まった”光景に出逢ったのです。

疏水側の茶色い柵と、歩道側の白い柵が植わりました。画面がせせこましくなりますが、イッキに遠近感と存在感が加わりました。背景はまだ未完成ですが、このまま人物とのバランスも見ずに背景だけ進めて暴走してしまってもいけないので、この辺で人物の色塗りに入ります。もうこちらはあえて新技法などにチャレンジせず、いつもの慣れた手法で塗り込んで行きます。
───とはいえ、一旦は完成形を把握したいので最終目的の「花びら」を散らしました。具合はよさそうです。この辺りはやはり元ネタが実写画像なのでより「どう描いて行けばリアルになるのか」の計画がとても立てやすい。この時点ではまだ描き込んでいませんが、絵で最も大切な「光の射す方向」や「空気の色」が予め判っているのは作業を進める上で大変楽です。
ワタシ的に人物を描く際の一番の「めんどくさい作業」である髪の毛は最初のベタ塗りの次にやる手順です。めんどくさいんですが、イッキに女の子が活き活きして見えてくるので好きな作業でもあります。
この場合でも光源の位置がはっきり決まってるので、彼女へ降り注ぐ四月の明るい陽射しと髪の香りを思い浮かべながら梳(くしけず)るように描きます♪色の境界線を丁寧に修正したあとは肌やセーラー服にも陰影が入り、立体感が際立ちました。
この場合でも光源の位置がはっきり決まってるので、彼女へ降り注ぐ四月の明るい陽射しと髪の香りを思い浮かべながら梳(くしけず)るように描きます♪色の境界線を丁寧に修正したあとは肌やセーラー服にも陰影が入り、立体感が際立ちました。
瞳に色や光が入り、人物は八割方完成しましたので、背景の調整に戻ります。人物の足元に影、花びらの山の元となった桜の木洩れ日を表現してみます。さらに彼女にもすこし、花びらがくっつきました。リアリティを増す小道具であると同時にチャームアクセントにもなったのでは?
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