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2012.12.16

『SAO二期:基本はやっぱり、キリト王子とアスナ姫の冒険物語』

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 前に書かせていただいたように、第一期のアインクラッド編が昭和のまた旅渡世ものを土台というかオマージュにしていると思えるように、この第二期もネットゲーム本来っぽいシチュエーションに彩られてはいますが、実はこれはこれでやはりオマージュではないか、と私は思っているのです。
 さて、それなんですけど───。


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 この二期ではスグハの二重構造の失恋物語が前面に押し出された作品…というキビしい展開のおかげでかなりオンナノコ・ベクトルに傾いてはいますが、そもそものSAO二期の発端は『有能だけど思いっきり偏執変態系企業マン』の野望のせいでサイバーワールドに囚われの姫となり、還って来れないアスナの救出劇が軸…のはず。

 その偏執変態系企業マン:須郷伸之はアスナの父の会社の有望株の若手社員という設定もさることながら、魔物からエリートビジネスマンまで、塩沢兼人氏なきあとの優男を演じさせたらこの人しかおらんじゃろ、という子安武人氏が演じる役柄のまあ、いらやしいこと、いやらしいこと。

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 そして舞台は天空にそびえる高ーい高ーい、NYの摩天楼よりもでかくて高い樹のそびえる街。
 アスナを閉じ込めた巨大な鳥かごをそのてっぺんに抱いた、世界樹と呼ばれるそれは、樹木とはいえまさに巨大な城の塔そのものですね。そう、そこに囚われているお姫様で連想する作品と言えば!

Lupin3

  (=`・ω・´)6 そう…。もっちろん『ルパン三世:カリオストロの城』のクラリスもそうですが、これ、映画演劇の世界から言えばウントコ新しい新しい。

 そっから20年ほど遡れば、東映動画の『長靴をはいた猫』が出て来るではないですか。はっはっは、どっちも宮崎 駿御大のカラミですね。

Naganeko 日本アニメ史に燦然と輝く傑作中の傑作、『長靴をはいた猫』のクライマックス。未見ならぜひご覧ください。「あ。あのアニメのアレ、これのオマージュか!」ってシーンがいっぱい。でもこの作品にも元ネタがあるから歴史は面白いですね。

 『仮面の忍者 赤影』でも、クライマックスでは囚われたヒロイン陽炎(かげろう)が琵琶湖らしき湖の真ん中に建てられた塔のてっぺんに囚われてましたし、最近では、ディズニーが作った『塔の上のラプンツェル』もそうでした。

 いや、それどころか大正時代のサイレント映画でもいろんな活劇などに何度も登場しますし、それを救いに行く主人公も怪傑ゾロから非力な王子様まで、なんせ『塔の上に幽閉されたお姫様の救出譚』は永遠不滅なんですね。
 もしかしたらロミオとジュリエットのバルコニーのシーンでさえ、そういう事をあのストラットフォード・アポン・ エイヴォンの天才ハゲオヤジは計算に入れてたかも知れません。いや、入れてたでしょう。

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 しかも、第一期ではある意味、キリトとアスナの恋愛ごっこ(悪い意味でなく)的な部分もありましたが、第二期のスグハ、そしてアスナを失いかけているキリトの本気度によって、人を愛するという行為、そしてその愛する人のために何ができるのか?を、年齢も時間も立場も関係ないという真剣な描き方をしてくれた事でたいへんな感動をくれていますね。

 もともとがラノベですから主人公たちの実年齢がたとえ10代のガキンチョなのはやむを得ませんが、キリトにせよアスナにせよ、考え方や対応の仕方は二十代以降の若者の行動ですから、観ているうちにそんな事は忘れて主人公たちの行方を固唾を呑んで見守ってしまっています。
 ましてスグハに至っては中学生の恋する少女ですが、やはりやってることは真剣な恋愛をしているオトナの女性と何ら変わりません。(例外は完全におこちゃまなレコン君くらいでしょうか?)

Fairlydancescreen24 でも、当たって砕けたとはいえ、恋しちゃったならこれっくらいはアタックせんとねえ。えらいぞ、レコン。

 『ココロコネクト』でも思ったのは、トシ食った立場のものがついティーンを子供扱いするのは当然としても、その当事者達にしてみれば自分たちのできうる範囲で精一杯に生きてるという意味では年齢に全く関係ない、という事ですね。(もちろん逆も可なりで、ジジババの恋愛も同じですね。)
 恋愛しかり、闘いしかり。だからキリトのこれまでの闘いは自分と他人も含めての生命を賭けた本気の闘いであったし、彼とアスナは本気の本物の“夫と妻”であり、スグハの恋愛感情も、幼さから来る擬似的なものなどではない本気の本気。
 このあたりはラノベ原作で読者は少年少女だからと作り手側で変に色眼鏡を通さず、自然に真面目に描いている点を高く評価したいですね。

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 そしてまた、SAOがすぐれた活劇であるポイントの一つは、主人公が追い詰められた環境からいかに見事な脱出劇をみせてくれるか、に懸かってると言えます。

 アインクラッド編では『ゲームなのに本当の生命が懸かっている』しかも『実際の肉体に限界が近づいている』という危機感と緊張感が醍醐味でした。
 でもフェアリーダンス編ではその物語の緊張材料として手にしたはずの最高のイニシャティブをあっさり投げ捨て、『ゲームオーバーは実際の死ではない』という設定にしたことには本当に驚きました。
 そのかわり主人公を追い詰める時間的要因として考え出されたのが、アスナの肉体・精神ともに、その運命をいやらしいいやらしい男の手の中に人質として握られてしまう、というキリト…というか、心から愛する女性を得たオトコなら誰もが最も耐え難い屈辱と忍耐でギリギリとしめていったんですねえ、この作者さんは。

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 当人の肉体的苦痛よりも、その家族や愛する人に苦痛を与える様を見せつけるのが最も有効な拷問です。まさにサド。それを物語として観客にエンパシーを届ける。見事ですねえ。

 ただひとつ気になってるのは、第一期同様、ラスボスとの対決直前からケリが付くまでのたたみかけの加速度が少々早すぎるように感じる事です。
 そのかわり、第一期ではその後にエピローグ風な挿話があり、それによって二期へのツナギになってたので「なるほど、こういうやり方の方が時には自然に流れるなあ」と感心したのですが、この二期が終われば一応予定話数を使い切るので、それを思うとひょっとして『Fate ZERO』前半みたいな終わらせ方にならなければいいけどなあ、と懸念してるところ。

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 なにせ内容が濃いだけに、ちゃんと最後にはおクチをさっぱりさせて食事を終えたいではないですか?

 てなわけで、二期の最終回まであとわずか。
 じっくりまったりこってり、愉しみたいと思います。

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 このフィギュアなんか、売り出し日を見ると鬼が笑いすぎて過呼吸で倒れそうなほど先の話。
 てこたぁ、やっぱり三期はあるのかもしれませんなあ。大人気ですからねえ。

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 なによりも、このまま終わってもたらリーファが…スグハは二人を見守って身を引いて終わり!? 「そんなのダメだよ!ボクも、リーファちゃん…スグハちゃんにはいつも笑っていて欲しい。ちうか、シヤワセになってほしい」ですからね。

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 ヽ(´∀`*)ノ ほな、また。

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