『SAO:二期』スグハ目線で描く初恋物語は、あまりに切ない。
これを書いている時点で、すでにクライマックス真っ最中のSAOことソードアート・オンライン第二部。もう、毎回毎回が手に汗握り、心はドキドキでいっぱいですね。
その理由、主人公はやはりキリト君なんですが、視点と主役が妹の直葉(スグハ)に変わった第二部・フェアリィ・ダンス編。
女性はどう思われるのか分かりませんが、私としては彼女が愛しくてたまりません。
しかも前回『マタタビ渡世の剣客もの』でオッサンのハートを鷲づかみ…とご紹介したSAO、なんと二期では王道の初恋悲恋ものとして構築されてるからこれまた昭和のメロドラマファンにもたまらん濃い味で攻めてきてるのです。
てことで、今回はスグハの恋物語でブツクサ書かせてもらいます!(スグハ画像もイッパイよ。)
第一期のアインクラッド編でも、キリト君は登場するヒロイン毎に本気で惚れられるというモテモテぶり。
しかしまだガキなのか、見た目の色男さとは真逆の恋愛感情には超鈍感という無骨ぶりがまた女性陣を惹きつける結果になってたわけですが。
そんな中、ゲームを攻略し終えて現実世界へ還るために戦い続けるキリトの想い出の台詞の中にだけ登場していた『妹』の待望の登場編となったのが今回の第二期なわけです。
しかも一期でキリトの台詞に登場しただけで、ははあ、これは二人の間に(というか妹側からは)何らかの感情の繋がりがあるな?しかもニブチン・キリトはやっぱり気付いてもおらんな、と匂わせているのです。
ここらもまた、SAOの群像劇としての仕立ての巧さがありますね。
さて、なにかというと『妹萌え』ネタで満杯状態の今の深夜アニメ&ラノベ界。
ぶっちゃけていえば『アホのひとつ覚え』が『妹』キーワードを含んだ作品群。今更ながら、最も近しい異性でありその幼い頃から何もかも知っていて、家族としても好悪を越えた肉親の情で繋がっている存在───
まあ私は一人っ子なのでそう想像するしかないのですが。
ところがどうやら世間の野郎共…に限らず、結構この兄妹(または姉弟)の関係をエロ目で着色しようとする傾向は大昔からあるようで…なんといってもその起源と来たら、ギリシャ・ローマの昔からですから始末に負えない。
しかしこれにも人道的かつ合法的な抜け道がある。
それがコミックでもテレビの実写ででも、恋愛ドラマに一度でもハマった人ならたまらないシチュエーションが『いとこ同士』という組合せ。
血のつながりのある、しかも男女として赦される限界ギリギリの関係がコレなわけですが、戦前の昔と異なりそうした縁戚婚が珍しくなった現代では実に刺激的だったようで、このパターンのまあ多い事多い事。
それはともかく、二期になってオープニングを観た瞬間「ああ、やっぱりそうきたか!」と思ったのと同時に、大いに期待しましたし、それは裏切られることなく今に至っています。
なんといっても平成の世に“マタタビ渡世の剣客もの”を復活させ、時代劇には超辛口の私でさえ満足させてくれた原作&脚本陣です。
次に来るのが『イトコ同士の恋愛のもつれ』となれば面白くないワケがない。
しかも直葉(スグハ)視点なので今回は第二ヒロインに甘んじているアスナではありますが、その存在はまさしく“正妻”であり、彼女を求め救うべくがむしゃらに突き進むキリトへの想いはかつての第一期ヒロイン達同様に未来がないのです。
おまけに第二期スタート当初、キリトと自分が幼い頃から想いを重ねてきた義理の兄との同一人物と知らずに“新たな恋”に墜ちてしまうという二重苦。
逆のパターンではスーパーマンやスーパーガール、スパイダーマンなどのマスクド・ヒーローたちが味わっていますが、さすがSAOは現実とサイバーのふたつのステージがあるだけにこんなシチュエーションが可能になったんですねえ。
それに、架空世界一点張りだった一期と異なり、スグハ目線どころか、生々しいまでのふたりだけの生活感にはなんだか女の子のプライバシーをコソッと覗き見するような罪悪感まで感じてしまうからオドロキです。
まあ入浴シーンや胸の谷間のアップがやたら多いのは作り手のサービスとしても、彼女の部屋に干されてる洗濯物だの、散らかったままの雑貨などの描き方は、姉妹のいない私でもそれが“それらしく見えるように描いた”程度のものではなく、リアルに『ああ、女の子の部屋って、女の子の日常って、こういうものかぁ』と納得できてしまう何かがある。
妹ネタ飽和状態の今とはいえ、案外そういう視点ではウソくさい作品が殆ど。私が絶賛して止まない『けいおん』をひっさげる京都アニメーションでも、こと主人公たちの生活感に関してはSAOほどのリアルさは未だにありません。
少し違いますがむしろ『ひだまりスケッチ』の方がずっと生活感ありますわね。
まあそれは他の部分でも言えるんですが、こういう部分で真面目に考えられた設定は他になかったのではないでしょうか。
SAOの魅力である、バーチャル世界がより際立ってくるのはこのためでしょう。
ちなみに、いわゆる巨乳好きのアニメファンに大好評なスグハですが、エンディングでの全身体型を見るとイマドキの胸だけ大きなアンバランスなボインちゃん(死語?)ではなく、どちらかといえば少しだけぽちゃっとした感じで描かれてるんですね。
しかし彼女の大きな胸も、ぽっちゃりめな体型も、実はキリトに対してスグハが持っている、母性の象徴として描かれた姿だと思うんですよ。
思春期になり、義理の兄に対して恋愛感情を抱いていても、彼女にはそれ以前にまず、肉親としての愛があるんですね。
それが兄としても尊敬していた男の、信じられないほど弱った姿を見てしまった。
そのため、それまで抑えに抑えていた恋慕の感情よりも先に、母性がワッと前面へ押し出された形になった。これが女性なんですねえ。見事ですねえ、イマドキ、ハリウッド映画でもこれほどの脚本構成はなかなかない。
もうね、17話で見せたこのジーンと泣けるシーンが全部語ってますね。じっさい、やらしい目で観てきたオッサンでも、あそこは結構…いえ、かなり、グワッと来たんぢゃないでしょうか?
え、小さくてよく見えない?クリックしてくだされば少しアップになりますから、じっくり感動を再現してください。切ないけどね……。(・_・、)
しかし普通の物語なら、スグハの恋物語だけで充分な内容なんですが、SAO第二期のメインストーリーはあくまでキリトによる、アスナ救出譚。
同時に、そちらが片付いたとしてもスグハのお話がどう収束してゆくのかの方が、ずっと興味深いとなると、ますます目が離せませんね。
いやあ、ソードアート・オンラインは語り出すとクドくなっていけません。
てことでさらにクドク、もう一回つづきます。(`へ´\)失礼!
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コメント
あ、え~と一点w
現在までの放映だと微妙に解らないのもあるんですが、主人公とスグハは血のつながった兄弟ではありません。それを一方的にスグハの方が気づいていて、主人公は気づいていなかった描写が(^^;;;
投稿: みゃあ | 2012.12.10 02:05
みゃあさん、毎度です〜。
ん?ですからイトコ同士でしょう。で、キリトの方が先に自分の出生に関しての事を知り、のち、SAOでの事件を機に母親からキリトが実の兄でないと聞かされたとありますが。
一応確認した上で記事にしてますが…
投稿: よろづ屋TOM | 2012.12.10 02:12
そうだっけか? それは失敬(^^;;;
投稿: みゃあ | 2012.12.10 18:50