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2012.07.29

『ソードアート・オンライン』が重く感じる理由。

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 初めてご覧になったらしき人のTwitterでの『SAO』評を見ると、「話が重いわー」てのが多く見受けられますね。
 しかし主人公キリトは、元祖内向的主人公のアムロ・レイや、元祖引きこもりの碇シンジと比べても、むしろずっと明るい性格ですし、話もSFとしては平均的な緊迫度。

 では何が“重さ”の 理由になっているんでしょうか…?
 今回はちょっと画像多めで語らせていただきます。ヽ(´∀`*)
 

Kirito
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 まあ、それだけ昨今の新作アニメが軽い、という事かもしれません。そういえばここ数シーズン、コメディや生活系の軽いものか、シリアス系でも、どこかぬるま湯的な作品が続いてたように感じました。
 え?『Blood-C』や『Another』ですか。たしかにハードですが、ヘビーではない。スプラッタですから。

 本来、戦いの物語とは、命のやり取りですから真剣でなければなりませんし、当然それ相応の重さを伴っていなければそれこそ “ゲーム” …すなわち一種の “夢オチ” のお話になってしまって説得力も何もなくなってしまいます。
 そういう意味では確かにスプラッタものは命の駆け引きがありますし、死にまくる、殺されまくる。しかしそれでも重くならない理由があります。

 先のスプラッタもの二作は基本的に自分のサバイバル。
 誰がどんなに無惨に死のうが主人公としては恐ろしいだけで、他者の死に対して責任はないので、実は精神的には至って気楽(というのも変ですが)なんです。

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 昨今の特撮ヒーローも普通の人間がアイテムで気軽に変身するので、その気になれば “辞められる”、“終わり” のあるヒーローですね。
 しかし元祖からアギトまでの昔の仮面ライダーはそうはいきません。人間ではなくなってるんですから、敵を倒し世界を平和に戻したところで、もはや平和な世界に自分の居場所はないんですね。

 ウルトラマンもそうでした。本来のハヤタ隊員は一話の時点で死んでるんですから、ゾフィのご都合主義的どんでん返しがなければウルトラマンの寿命が続く限り一心同体のままだったはず。
 でもいつの間にか、どっちも “いつか戦いが終われば普通の人に戻れる” 不文律ができた印象で、悲壮感は消えましたね。

 一方、生身の人間であっても、アムロもシンジもその立場からは文字通り “逃げられない” という理由から、重たい話になる。現実の戦時下の兵士と同じです。

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 しかしキリトは誰かに戦いを強要されてる立場ではないですよね。

 プレイヤーは戦わない限り何も得られないとはいうものの、とりあえずゲーム内で死にさえしなければ一応、仮の安全は得られます。
 なので、いわゆる “有志” による『攻略組』がいくつか自然発生的に組織されて、ラスボスを倒してゲームを完了させ、自分たちも含めてゲーム世界から現実へと脱出させる動きがこの物語の大きな流れとして存在してはいますが、それに参加しないからといってなんらかの資格を剥奪されるわけではないし、ゲーム内のみの自由しかないとはいえ、労働を強要される奴隷というわけでもない。(この辺の自由度など、今実際に世界で遊ばれている各種MMORPGの雰囲気を実に上手く取り入れている事に感心します。)

 なのになぜ重たく感じるか?

 アムロにもシンジにもないものがキリトにあるからです。
 これはやはり、舞台が狂った創作者のテロリズムによってバーチャル世界を舞台にしたゲームが現実世界と最悪なカタチでリンクさせられてしまったために、ゲームに参加していたプレイヤーたちは全員、ゲームの中で本当に生命を賭けて戦い抜かねばならなくなった───という事と大きく関係します。

Sao_25▲MMORPGやってたら何度も出くわすこのイヤな体験&光景!

 彼は作中で “ビーター” と呼ばれ、チート(ユーザーが自分のプレイに都合良く遊べるようゲームのシステムに違法に手を加える行為)が可能なレベルの、ベータ版テスターを越える超プレイヤー的な存在⋯という事になってます。
 チート行為はイカサマとは根本的に違う。
 イカサマはサイコロの目を自在に出せる、少し先の事が見える、という超能力レベル。いっぽう、チートは最初から『絶対に不利な目は出ない』『何もかもまるっと全部お見通しだ』という神様レベル。
 幼い子供の遊びルールじゃないですが、「なーんぼ斬られても死ねへんねん」という最強ルールがまかり通るのがチートされたバーチャルゲームのキャラクターなのです。

 しかし実際のキリトはそこまでではなく、βテスターとして少しだけ “場慣れしてる” から強く見え、効率よく強くなるコツを知っているだけ。
 でも少しのミスで実際に命を失うサバイバル世界でのこのアドバンテージ…優位性の意義はとてつもなく大きく、いわば『ズル』しているという意味ではチートと変わらない。

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 遊びなら「ずるいなあ、あいつら、いいよなあ〜」で舌打ちすれば済むだけのこの差異が、SAOの世界ではそのまま不条理な生命の重さという差別化に直結してしまい、埋める事のできない溝になっていく。
 このことが根は善良なキリトにとっては実は耐え難いほどの罪の意識としてのしかかっているんですね。

 このキリトの『罪悪感』こそがソードアート・オンラインの重さの理由、アムロにもシンジにもないものです。

 一話、二話と初心者プレイヤーが目の前でつぎつぎ死んでゆく。ナレーションでもその割合たるや、短期間で人口が激減した事を語ります。
 二話では、もとβテスターと後発の一般参加者との絶対的とも言えるギャップが描かれ、良かれ悪しかれ『人間関係』という、従来のゲーム機では絶対に得られなかったMMORPGならではの楽しさのファクターがそのまま裏返しになって突き付けられます。

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 三話ではその差異はますます拡がり、ビーターは “ならず者” 以上に一般プレイヤーから忌み嫌われる存在になってゆくことを示唆しています。
 第一話の最後につぶやいた「俺は生き延びてみせる!! この世界で!」▼というのがまんまキリトの飾らない本音でしょうね。

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 このセリフにはもちろん “誰を踏み台や犠牲にしようとも” という自分本位なニュアンスを含んでいる。

 それを裏書きするように、いちおう次の二話では自分に対しても言い聞かせるように少し悪ぶって見せますが、結局その場から去ります。台詞では語られませんが、ある程度強さを得た彼は少なくとも『他人を踏み台にして』までは戦う必要がなくなる。

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 それでもビーターとしての罪悪感はキリトの中でひたすら膨らみ、重く重くのしかかり続け、それはそのまま彼の、自分の我欲を抑え滅私しつつ、なんとか弱者の味方はできないものか…という行動の動機となって行く。

 三話では自分よりうんと低いレベルのパーティに加勢しますが、結果として哀しい目に遭い、自己嫌悪に陥ってしまう。ここから彼は自分のためだけでなく、人を救おうと思えばもっと強くならないといけない事を悟る。

Sao_27▲このシーンはあまりに切なくて、ぐっと胸に迫ったヒトも多かったのでは?演出も美しいね…

 そして最新四話では、まさに “さすらいの剣士” そのままに、すでに二つ名を持つだけのツワモノになっていることで私をしびれさせてくれました。

 同時にゲーム世界内がひとつの社会として妙な安定化をしはじめてる所も見せます。
 実に巧いですね。
 これによりキリトの意識は、腐りきる前にこの世界自体を終わらせねば…というものに変わっていくでしょう。
 やがて彼は………いや、それは今後を毎回味合わせてもらいながら楽しみつつ見守らせて戴きたいと思います。

 その第四話などは、オールドファンにとってはまさに定番のシナリオ構成なんですが、それはまた次回に。

 (*´∀`)え?SAOのネタやのに、なんであの娘が全くおらんのか?
 それはね…もうひとつの映画専門紹介ブログで思いっきり取り上げてるからですよぉおおおおお。
■『《ソードアート・オンライン》まさに渡り鳥!傑作人気SFは昭和のドラマ仕立て。しかし…!』

 ソードアート・オンライン、今期最高!ヽ(´∀`*)ノ ほな、また。

 ■関連記事→『SAO……主人公の背中に悲哀。もしかして“流れ者”って死語ですか?』

Bn480
Asuna
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コメント

1話:2022/11

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4話:2024/2

このあたりの年月の経過も地味に「重い」ですねえ。

投稿: ざんぶろんぞ | 2012.07.30 00:05

おー、さすがざんぶろんぞさん。
ちゃんとご覧ですねえ。本体はいったいどうなってるのか。
現実は恐ろしい。あるいはゲーム内の人々も諦めはじめてるのか…逆に本体がダメになってゲーム界の人がいきなり消える事態も起こるのか。
奥が深いですね。

投稿: よろづ屋TOM | 2012.07.30 00:25

4話はもろに「流れ者」が少女を助ける話で、しかも「悪党に裁きをくだし去ってゆく」話でした、次回はどうも「重い話」に戻るようですがね、そして真ヒロイン「アスナ」再登場となるようで期待しています。

投稿: ざんぶろんぞ | 2012.07.31 13:23

ざんぶろんぞさん、まいど。
あ〜〜〜。それ、言うてしまいましたね。(。-`ω´-)
次回、それを思いっきり書くつもりでしたのに…

投稿: よろづ屋TOMよろお | 2012.07.31 23:41

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