『ソードアート・オンライン』主人公の背中に悲哀。もしかして“流れ者”って死語ですか?
現在関西地区では第三話まで放映済みなんですが、まず「おっ」と思ったのはそのシリーズ構成。最近のこうした作品にはないスタイルが、一話一エピソード完結形式で、主人公キリトはイマドキ珍しくなった “流れ者” だったので思わず身を乗り出しました。
え。Σ(;´д`;)死語なんですか? 流れ者って。
まあ別名で『無頼(ぶらい)』とはよく言ったもので、つまり、基本的に他人から頼られる事はあっても他人を頼る事はなく、独りで行動し、決まった相棒や仲間を持たず、住む所も一定しなくて、しかも同じ所には余程でないと戻って来ない風来坊(これも死語?)のこと。
また、ゲームによってはずっと独りで戦ってゆくものも少なくないですが、RPGであれば、完了条件のクリアという目的がありますよね。
しかし『流れ者が主人公の物語』ってのは、本来ならばシリーズを通しての特定の最終目的はないんですよ。あるとすれば、死んだ時が安らぎを得た時というダーティさがウリなんです。
全部の作品がそういうワケではないけど、毎回のエピソードをどう魅力あるものにするかが物語としての見せ所で、最終目的までのプロセスはあくまでシリーズとしての背骨として存在するだけ。
ゲームに例えれば、『.hack』や『アクセル・ワールド』などが『最終的に大ボスを倒す為にレベルを上げながら戦い続ける有様を描くお話』なのに対して、『ソードアート・オンライン(略してSAO)』は『生き延びる為に必死に戦い続けてゆく日々の中で、主人公の視点で人間模様を描くお話』なので、レベル上げなどは話の展開上は無意味に近い。
そして孤独な流れ者という設定にとっては、これまで長らく漫画やアニメで軸にされてきた某少年誌のスローガン『友情』『努力』『勝利』などは主人公にとっては極めてドライに、傍観者的に捉えられる “よそ事”程度の事に過ぎません。
基本的に相手に打ち解けない、信用しきる事がないので『友情』はうわべだけのもの。
『努力』以前にその時をまず生きなければならないから、ひたすら必死。『勝利』もその結果に過ぎない。
『友情』の派生としてその少年誌では『団結』ネタもよく描かれますが、せいぜい行き着いた街で出逢ったゲストキャラと暫定的な “パーティー” を組むだけ。
むしろ流れのままに団結してしまった事がもとで、二話・三話で主人公キリトはとても辛い思いをして行きます。
だからその街での戦いなり、その街に滞在した理由が片付けば、独り街から出てゆく。行き先も正体も告げずに。(実はこのスタイルこそがクールでカッコいいので、昔は “流れ者” が大人気だったのですよ。)
アウトローとも呼ばれますが、マカロニウエスタン盛んなりし頃は、そらもうそんな調子の流れ者だらけ。
かのクリント・イーストウッドが若き日に演じたガンマンなどはその典型でした。
日本でも “渡り鳥”と呼ばれ、なぜかカウボーイが登場する和製西部劇みたいな奇妙なドラマに爆発的人気がでたり(その風潮をのちにパロって特撮ったのが『怪傑ズバット』)、時代劇では『木枯し紋次郎』などの “股旅物(またたびもの)” と呼ばれる、無宿渡世のヤクザが主人公の作品が流行ってました。
旅から旅の人生。悪人ではないが正義の味方でもない。ただ、行く先々でたまたまかかわった人を助ける為に悪党を斬り、ひとりその罪をかぶってまた旅に出る。
だから孤独というキーワードのもと、 “流れ者”は誰とも心を開かず、底から打ち解ける事もありませんね。
なので、(;´д`;)たま〜〜〜に心から打ち解けた相手だと、そのキャラはまず間違いなく死亡フラグが立ったりなんかします。
そんな中で、回を追うごとに、緩やかに…でも漠然とシリーズを通しての目的へ、クライマックスへと近づいてゆく。(さながらシリーズコンセプトという運命に導かれるように…)
ね? まさにこの物語の主人公、キリトまんまでしょう。
流れ者の条件は『負い目がある』『隠してる高い能力』『ヒト付き合いが苦手』『しかし実は耐え難い孤独をやせ我慢している』など。
これらは全部、キリトに当てはまります。
ただキリト君は少々マスクが可愛すぎるきらいがありますが、彼の背負った生き方は、なかなかに “流れ者” の王道を征く、渋いものが感じられます。
ましてその生き方は彼のくそ真面目さゆえのこと。
それだけに今後、修羅の道を征く事になるであろう彼の苦悩は相当なものになりそうで……だからこそ、観客としては楽しみな限りですね。
ヽ(´∀`*)ノ お話の見どころに関しては、次回につづきます。
こーゆーの、ナンボでも話がつきませんしぃ。ほな。
■関連記事→『SAOが重く感じる理由。』
(*´∀`)え?SAOのネタやのに、なんであの娘が全くおらんのか?
それはね…もうひとつの映画専門紹介ブログで思いっきり取り上げてるからですよぉおおおおお。
■『《ソードアート・オンライン》まさに渡り鳥!傑作人気SFは昭和のドラマ仕立て。しかし…!』
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コメント
今季の注目度が一番高い作品ですね、DVDの売り上げも一番になりそうな勢いですよ、さて書きたいことはほとんど書かれているのですが原作があるのでやや展開が速すぎるのが残念な気がしますが噂では「2期」が決定したとか、期待はしていますが話的には「重い」ですねえ(無事に帰ってきても「スパゲッティ状態」なのは間違いないわけだし、、、
今季は「ココロコネクト」も期待してたんですがねえ、、わたしにゃどうして「こんなに面白そうなネタ」を消化しきれないのか、と不安になります(録画止めようかなあ、、)
投稿: ざんぶろんぞ | 2012.07.25 19:50
ざんぶろんぞさん、毎度です!
そう、重い。最近には珍しい重さかも知れませんが、これこそ私が待ち望んでた重さですわ。はっはっは!
でも昔はこれくらいの重さ、なんぼでもあったと思うんですが…?
それだけ他のが軽くなりすぎたってことですかねえ。
投稿: よろづ屋TOM | 2012.07.25 23:01