『キルミーベイベー』過激なドツキ漫才なのに地味に可笑しい
常にプリプリ不機嫌な“そーにゃ”と、常にふにゃふにゃしてる“折部やすな”のコンビが織りなすお話⋯なんですが、物語としては進展も発展もない、ある意味『や・お・い(山なし、落ちなし、意味なし)』の、『ひねもすのたりんぐ』なアニメ。→公式サイト
ま、そう言うと実もフタもありませんが、かなり毎回この作品にはゲラゲラ笑わされてます。
とはいえ私は昔から、いじめ・いじめられネタは好まない…むしろ拒否反応が出るほど敵視してきたんで、なんでこの作品が普通に楽しめるのか考えてみました。
え〜。その前に、いつものように、まったくご覧になった事のない方のためにチラッとご紹介。
▲こちらが一応主人公の折部やすな。ご覧のようにいかにも脳天気そうなお嬢さん。
▲こちらが名前や見てくれからして一体どこの国の方かしらと思う、そーにゃちゃん。しかもなんと!彼女の本業はプロの殺し屋なんだとか。だからタイトルが『キルミーベイベー』なのでしょうか。
しかもサブキャラには───
▲左の半ベソのお嬢さんがそうですが、彼女は自称“忍者”…なぜか“くのいち”とは名乗ってないのは、イマドキの若い読者には通じないんですかね、くのいちって。
もうひとり、3話あたりからチラホラと釘宮理恵さんが演じる、無視されキャラが登場(なんと公式にも“没キャラ”という名前しかない!)してますが、文字通り無視され続けてるし行き違いだらけなので今の所は単なるお話の『箸休め』程度の扱い。
考えてみたらかなり贅沢なくぎみーさんの使い方…それはともかく。
さて、毎回毎回、やすなはそーにゃにシバかれてばっかりいます。
そらもう、どつかれるわ、けとばされるわ、時に関節決められたり落とされたり…
しかし。 (=`・ω・´)
やすなは確かに、そーにゃにセッカンされても仕方ない行動パターンがほとんどであること、同時にやすなはそーにゃにセッカンされる事を半ば楽しみにしながら、わざと挑発してますよね。
そらそうでした。なんせOPに入る前の「キルミーベイベー!」とタイトルコールする時に、ドスを利かせて『Baby, please kill me.(愛しいヒトよ、私を殺して)』とわざわざ添えてあるくらいですから。
…とまあ、表現はキッツイですけど、要するに内容は『子犬のじゃれ合い』
(。-`ω´-)6 だから観てて安心、しかも楽しい。
さらに笑える理由。
まあ確かにやすなたちのピントのずれたウルトラお馬鹿なリアクションもさることながら、『キルミーベイベー』の面白さの要因は、やはりテンポの良さ、ここぞというタイミングでのリズムの外し方でしょう。
なんといっても緩急の混ぜ方が実に巧い。
そのかなり重要なファクターとして、“やられ役”折部やすなの声を演じる赤﨑千夏さんの“声の使い分け”が上手いこと。
普段はハイテンションで、でもけして早口ではないやすなのお喋りが、大事な“笑わせ”ポイントになると、ふにゃっと肩の力が抜けた絶妙のリアクションになる。
しかもその抜き方は何通りもあるようで、結構そこで爆笑につり込まれてますね、私は。
これは『けいおん!』で豊崎愛生さんが平沢唯を演じた時も、あ。このひと、脱力した時のウダウダ演技にすごく味があるなと思いましたね。だから唯役になったのかな、とも。
そして唯一の男声キャラを担当されてる、チョーさんが実にイイ!(≧∀≦)
もうこの方はSFファンなら『スタートレック・ボイジャー』の愛すべきニーリックスの声で、そしてアニメファンなら『苺ましまろ』あたりから変な老人を演じ始め、最近では『ひだまりスケッチ』『日常』など、校長先生といえばこの人の声を連想するほどハマってますね。
この『キルミーベイベー』でもやはりあのテイストを保ったままで様々なキャラや番組Bパートオープニングジングルでも先の「Baby, please kill me.」のコールで笑わせてくださいます。
じつは『キルミー』も『けいおん』も、台詞のテンポはゆ〜ったり。
その代わり、動きで取りに来る笑いは実に迅速。ここでも緩急の対比が活きています。
イラチで怒りん坊なそーにゃは大体ボソッと喋るだけですが、クチより手が先に出るタイプなのも良くマッチしてる。
しかし低予算なのか、動画としてはけっこう手抜き的な技法も多々見受けられるんですよ。
たとえば4話では、昭和40年代のアニメでは当たり前にあった『スライド式』による、フレームイン、フレームアウト…つまり画面の外から登場人物が入ってくる時、クチパク程度しか作画せずに、普通に止まったままの絵を滑り込ませるという、低予算でセル画枚数と作画時間を節約してた時代の技法をそのまんま何カットも出してきてるのにはビックリ。
まあその時のエンドロールを見ると、韓国あたりへの外注さんだらけなので技術的な事もあったのかもしれませんが……。
これもギャグアニメだからこそ許されるような。
とはいえ、本家スタッフはけして並の動画力などではない事はOPのダイナミックな動きや、EDの、割の細かいカットを見れば一目瞭然。
そして予告用の毎回のカット。(▲第一話より)これがなかなかにカッコイイし、凝ってるんですよね。でも動画枚数としては(デジタル作画とはいえ)ごっつ少ない。
ああ、実は予算さえあれば、もっともっと遊んでみたいんやろなあ、と思ってしまいます。
(TωT) もう、お皿が売れて売れて、パワーアップした続編が作られる事を祈るしかないかと。
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