祭太鼓が聴こえる、秋の夜長。
もうすぐ近くの『枚岡(ひらおか)神社』の祭が近いんで、遠くの通りから祭太鼓の練習の音が聴こえてきます。
枚岡神社の特徴は、この『布団太鼓(ふとんだいこ)』。
生駒山(いこまさん)の中腹にある枚岡神社を中心に、多少大小の違いはあるんですが、いわゆる昔の村の区画ごとにそれぞれ一基ずつ、こうした布団太鼓が全部で十数基あったのではなかったかしら。
毎年10月14日、15日の二日にかけて行われるんですが、祇園祭同様、日付が固定されてるので休日に重ならない限り、サラリーマンはまず観られません。そんなわけで写真はもう何年も前に撮ったもんですが、これはまだ小さい方。
井桁に組んだ土台の中心に、水平に太鼓が据えられ、それを囲むようにして太鼓の打ち手が座り、その頭上に巨大な布団が数枚重ね合わさったカタチで天井として据えられてるという構造。
中央は開けられていて、戦車の上部ハッチみたいに上から外を覗けるらしいんですが、あいにくこの土地に生まれ育って半世紀でありながら、乗ったことも上から見たこともないのでその辺は不明。
これらが、14日の宵宮に合わせて、街なかを三歩進んで二歩下がる式に練り歩きながら、徐々に枚岡神社の境内目指して終結してゆく様はなかなか勇壮。
その枚岡神社、ジモティしか知らないとはいえ、その由緒はとんでもなく古くて、起源は日本最初の天皇である神武天皇の即位よりまだ古い。
当然、社格も高い…なんでそんな事を知ってるかというと、ここに『元春日大社』という石碑を見つけて興味を持ってからのこと。
つまり、奈良の春日大社に神さまが移られる前には、ここにおわしたよ、という話なんですな。
( ̄ロ ̄lll) どどどど、どんだけ古いねん。
さらには時代小説ファンとして読んでいた『太平記』にも枚岡神社の名が出て来てびっくりしたこととか。───でも、延喜式とか見てると、足利尊氏どころか頼朝、義経、さらに来年の大河の主役である清盛までもが戦勝祈願だかなんだかで訪れて寄進とかしてるんですな。
夜、枚岡神社の境内に終結したふとん太鼓は、一度それぞれの街へと戻るのですが、一基、また一基と狭い道を通って、例によって“三歩進んで二歩下がる”式の進み方なものだから、当然深夜までかかるんですな。
そして本宮(ほんみや)の15日、ふたたび境内に終結する。
そして全てが揃うのは陽が傾いた夕陽の中。
お宮さんに向かってそれなりに斜面になった境内には、所狭しといろんな夜店が軒を連ね、近隣の若者、子供、年寄りもがいっぱいに溢れ、その中には先に到着してずっと太鼓を轟かせているたくさんの太鼓台。
やがて、あらたに到着した布団太鼓が所定に位置に向かって、「ちょぉおーさーじゃ!」のかけ声と共に坂道を登ってくる光景は、マイナーな街の祭としてはかなりのものではないかと思います。
私は人混みが大嫌いだし、押し合いへし合いの雰囲気もイヤでしょうがないんです。
でも、あの太鼓の音の中には身を置いてみたい。
腹に染みる重低音の太鼓の乱れ打ちの中に身を置いていると、全身を浄化されていく気がします。もう、長いこと訪れてないんですが……。
そんな祭を直前にして、日に日に練習で打つ太鼓の音が盛んになります。
祭はもう数日後。
私が住む、今では『東大阪』と呼ばれる市の、もっとも東の端にある街には、はるかなはるかな昔から“旧高野街道”と呼ばれる、都と高野山をむすぶ街道が今も走っています。
ふとん太鼓はその所々で組み立てられ、その時代の若者や子供が担ぎ手として、また打ち手として練習をしているんですね。
こうしてあの音を聴いてると、“村祭り”として千年…いや、太鼓や太鼓台こそなかったかも知れませんが、二千年も前から祭が近づくと何かしらやってたはずで、その頃も私が今住んでいる場所には誰かが住んでいて、やっぱりこんな具合に「ああ、もうすぐ祭か…」って思ったんやろね。
そんな事がずぅううううう〜〜〜〜〜っと続いてきたんやなあ、と思うと、なんとも不思議な気持ちになります。
今から千年後も、誰かがそう思っていられる国やったら、世界やったらええな。
生駒の地酒『山鶴』特別純米 ひやおろし 1.8L | ||||
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▲この地酒は旨い!マイナーですが、とろっとしたまろみある味わいといい、昨今のブームに流されない、チカラのあるコクの素晴らしいこと!
かつて某百貨店で「“なだ”の酒ならぬ、“なら”の酒ですけど、これはいいですよ」と試飲させて貰ってから、イッパツで惚れ込んだ山鶴はどれもそんな風に、時代に流されない良さがあります。一度お試しを。
当時は某百貨店が独占販売してたんですが、今はネットで買えるからエエ時代になりました。
秋の夜長に変なアテなどなしにして、ちびちびと楽しみたい、酒好きのための酒でありますよ♪
orz.... カレンダー見て気づいた…
今年の祭…金・土……どっちも仕事で帰宅は22時…あうち。(;´д`;)
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コメント
枚岡神社のお祭りは未体験ですが、太鼓の音というのはいいですね。気持ちが原始に還る…。
うちの近くの諏訪神社も秋祭りで、御神輿が回ってきました。お囃子を聞くと、仕事をそっちのけで、ひととき、外まで観に行きたくなる性分です。
投稿: 猫式部 | 2011.10.17 22:24
猫式部さん、まいどです!いやほんまにお世話になってます。
ところで久しぶりに郷土愛に燃えてこんだけ書いたんですが、肝腎の当日は宵宮本宮どっちもうっそみたいな大雨、大雨、また大雨。
祇園祭はよぉ雨にやられますけど、うちの祭でこれはほんまに珍しいです。
で、ぜ〜〜んぶ終わった日曜日はキレイに秋晴れ。
屋台もなく見守る人もフツーの通行人だけの中を、太鼓だけ元気にならしながらねぐらへと帰って行きましたとさ。
私が休みで出掛けとったら晴れとったんでしょうに。(←ごっつい自信、でもマジ)
投稿: よろづ屋TOM | 2011.10.18 13:59