『ノッテオリテvol.13〜ヒミツの大阪国〜』がおもろい
前にも一度紹介したんですが、この大阪市交通局発行のA4判ミニコミ誌(というのかな、このサイズでも)ノッテオリテは、なかなかに味のあるエッセーや記事が載ってます。
ページ数は少ないんですが、なんといいますか、一点豪華主義というか、少ない記事を丁寧に練って練って、語りすぎず、語らなすぎずのエエ塩梅で描いてある。
で、今回は巻頭特集として、万城目 学という作家さんのエッセイがありまして。
この人、いま売れてるらしいですね、新作?『プリンセス・トヨトミ』が映画になって今月から公開されてるっちうのもあって。実はこの人、『鴨川ホルモー』てのも書いた人らしい。
それが映画になってるんでタイトルだけは知ってたんですが、実はそれも未見でして。
しかしそういう事でもないとまず知り得ませんでしたね。ぶっちゃけた話、私は現代小説はまず読みません。皆目興味がありませんので。
読むとしたら時代小説かSFなんで売れてる小説とかに全然興味のない私なので、ベテランは勿論のこと、新進気鋭の作家さんとくれば全く知らんのです。
最後に読んだのも『亡国のイージス』ですし、あれって現代小説というよりSFですわな。
そういう意味ではこの『プリンセス・トヨトミ』もSFなんやろか、と思えたのと、楽天のポイント消滅の期日が近づいてたんで読んでみることにしまして。
この話、舞台が大阪の空堀(からほり)なんですな。
名の通り、もとは大坂(おおさか、ちゃいますよ。おおざか。昔の呼び名ね)城の空堀があったかららしいけど、今はもちろん空堀もないし、ここから大阪城なんか林立するビルやらに隠れて全く見えません。
で、もう10年前になりますが、実は今回の特集にもなってる『はいからほり(空堀商店街の一部分がそういうネーミング)』の近くに13年も勤めてたんで、たまにではあるけど買い物とかもしたりした。今回の『ノッテオリテ』には、その時と全然変わってないお店も写ってたりしてなかなかにノスタルジックで。
ただ、当時もそうでしたけど、同じ空堀商店街でも、この『はいからほり』は寂れてこそいないものの、私が住んでる東大阪の商店街なんかと比べたら、お世辞にも賑やかな商店街とは言われへんのです。
けど、大阪のど真ん中にあるにしては落ち着いてるいいますか、ガサツさがないのがええなあ、とはいつも思てました。
ほんでもって。
万城目氏の文中にも出てきますが、『いまも大阪人は豊臣びいきで徳川が嫌いなのか』みたいな話、たしかにありますわな。
特に私みたいに戦国ファンやったりすると。
ちうても、単純に徳川憎し、太閤さんお気の毒とは思いません。
とはいえ、エエ歳食ってから歴史小説を読んで(学校の歴史の授業でないところがなんとも…)初めて今の大阪城は徳川の大『阪』城であって、太閤秀吉の大『坂』城ではないと知ったときのショック、そして当時の黒と金という“ジョン・プレイヤー・スペシャル(70年代後半のフォーミュラ・ワンがお好きな方ならピンと来る筈)”カラーの大坂城が観たかったなあ、と思うのも本当。
しかし昭和7年、私の母の生年に大阪市民の寄付で再建された今の緑青(ろくしょう)カラーの大阪城もけして嫌いではないのです。今の家になってから、20倍の双眼鏡でかろうじてビルの隙間にチラ見えするのもポイント高いですし。
『プリンセス・トヨトミ』がどんな話かは、まだ今朝から本を読み始めたばかりでよぉ知らんのですけど、大阪をどんな風に描写してあるのかはめっちゃ興味津々。
そういえばNHK朝ドラ『ふたりっ子』の舞台もたしか空堀商店街やったのではなかろうか。(マナカナ嫌いなんで完全無視やったんですが)
この『ノッテオリテvol.13』、彼のファンなら欲しいんとちゃうかなあ。『プリンセス・トヨトミ』に絡んだエッセイ的な要素もあるし。なにより、彼の文体に触れたからこそ、めずらしく読んでみようかと思たわけですしね。
いまなら、大阪市地下鉄の各駅のどっかに置いてあります。
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