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2010.07.19

ひさびさに『文庫本』を買うた。その二。

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 これこれ。さらっぴんの本を買うた時、なかほどにある、平織のしおり。これがこうやって挟まったまんまで『し』の字を書いたまんまでカタチになって、ぺったんこで納まってる状態。大好きやねん。
「ああ〜〜〜〜〜っ!さらっぴんの本、買うたんや。これ、僕の本や。大事にするでぇ」
 そーゆー気になりませんか?
 
 これ、前回ぼやきまくったのと同じ『新潮文庫』ですけど、古いバージョン。とはいえ、印刷は平成22年、つまり今年の6月とあるので、要するに『改版』せんと平成17年7月のおりに改版したスタイルのまんまで増刷だけしたんですな。ええこっちゃ。
 
 おかげで、めっちゃ読みやすい。ヽ(´∀`*)ノ 文庫本、ちうのはこうでないと。
 


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 前回は文句ばっかり垂れとったんで、今回はちゃんと中身の話。
 さてこの本。開高健(かいこう たけし)の『地球はグラスのふちを回る』という、酒ネタエッセイなんですが、実は私、この著名人であり骨太エッセイスト、そしてコピーライターの草分けでもある偉人の書いた本を読んだ事がなかった。実に恥ずかしい事であります。
 
 幼い頃、サントリーのCMの渋さに憧れ、酒が飲めるようになったローティーンの頃(おいおい)は日曜洋画劇場のCMではご自身も登場され、アウトドアに生きるそのふくよかで男臭い姿から、辺境で巨大魚を狙う冒険家だと思い込んでいた御方。
 でも実は、あのカッコイイ、そして深いロマンをたたえたウイスキーなどの酒に関する数々の文章は、みなこの人の筆になるものだと知った頃には、もうあまりTVには登場せず、1989年にわずか59歳の若さで他界してしまわはったんです。
 
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 帯見て二度ビックリ。今年で生誕80年。いてはったら、まだそんなんか。
 
 あらためて読んでみると、ほんまにこの人、無茶苦茶。酒の神様に愛されてるいうか、この人自身が酒の神様の末席に並んではる。しかも、今みたいに飛行機でキーン、とちゃう時代に、文字通り世界中をまたにかけ、世界中の酒をノドへ流し込んでる。
 文章を読んでたら、たまーに知ってる酒の名前が出て来るけど、それも私が知ってるような輸入もんと違て、現地でよぉ知りもせんと薦められるままに口にしたり、本能でかぎわけて好奇心だけで試しに一本空けてみたり。
 
 しかもこの本を書かはった時、46歳。この少し前には戦争中のベトナムで様々な体験をして、九死に一生を得つつルポライターとしても生きてる。なんちうぶっとい人生。
 
 悔しいねん。うらやましゅうて。(;`д´;)ほんまに、ねたましいくらい。こんな気持ちになったん、はじめて。
 
 文章が上手いのは勿論やけど、なんやろね、この、足もとからジワジワと滲んでくるような、粘着質の味わいというか。
 文章ではあっさりと「ウィーンで」とか「モスコーで」なんて書いてあるけど、実際にはそうそう簡単に行ける場所でも居られる場所でもない時代の筈。しかも一体この人、何カ国語が話せるのか、話せないのか、現地のオヤジとかべっぴんさんとねんごろになっては、なんか旨いモンやら怪しいモンを飲んだり、食べたりしているのね。

 けど、何も描かれてない行間からは、実はかなり大変な苦労をして世界を回っていたに違いないと思われるわけで。
 そういう体験を無数にこなしてきた男ならではの自信というか、ドッカと大地に根を張った人ならではの重みが単語、単語に込められてるのがズシズシと伝わってくるんですね。
 
 これが、悔しくて仕方ない。
 
 もちろん、こんな人に太刀打ちなんかできるはずもないんですが、同じ男として生まれ、たぶん同じような年代には何十倍もものすごい体験を繰り返してきたであろう人がいた。
 私も酒が好きですが、量は飲まないし、高い酒は知らない。所詮は井の中の蛙やし、銘酒の利き酒なんてできようはずもない。
 けど、開高健という人は、とんでもない高い酒も理解している反面、どっかの国の泥水みたいなビールだの、エチルなのかメチルなのかも分からないような酒も知っている。
 せやから、私と同じ酒を同じ条件で飲んでいても、感じる事、気づく事には雲泥の差がある。
 
 食べ物に関してもそう。
 こんな一節がある。
 
「ポテト・チップスに関するかぎり、やっぱりベルリンかロンドンの方がうまいようだ。パリのはどういうものか水っぽくてあっさりしすぎている。あるイギリス人が教えてくれたことだが、ポテト・チップスは助平な新聞で包んで食うほどうまいので、『タイムズ』なんかで包んだやつは目も当てられないよということである」
 
 こんな事を見てくれだけの飲み屋で商社の外交員っぽいのとか、横文字商売っぽい中途半端な中年がキザったらしい東京弁で自慢げに喋ってたら、いきなりシバきたおされても文句は言う権利はないと思うが、開高健がサラッと書くと「ははあ、そんなもんですか」と耳を垂れるしかない。
 
 なんちう、悔しくてオモロイ本なんやろか。オモロイからよけい、悔しいねんけど。

 まだ、続きます。《その三へ》せやかて、司馬先生の本に関してふれてませんのでね。


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コメント

こんにちはー!scissors

開高健さん、私も好きで、昔は読みましたが、TOMさんの文章を読んで、また本を取り出したくなりましたわー。『夏の闇』という小説は特に大好きでした。

食のエッセイが、ほんと面白いのよねえ。東南アジアの屋台をうろつき回って、ハエが一番たくさんたかっている屋台を選べば間違いなく美味い!とか、どっかで書いてはりましたっけ。

投稿: 猫式部 | 2010.07.22 13:32

猫式部さん、毎度ですー。
このおっちゃんは怪人やとは思てましたが、これほど化け物みたいな経歴とは思いもしませんでした。
交友録というか、登場してくる他の方の名前を見てても、やっぱり世界をまたに掛ける人は、似たような人との付き合いになっていくんですねえ。

投稿: よろづ屋TOM | 2010.07.23 13:08

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