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2010.04.28

『ガンダムUC(ユニコーン)』に見るインターフェースの進化論

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 震えましたね。冒頭のシーンから。オニール型のスペースコロニーがリアルに登場するSFなんか、ご覧になった事ありますか?なんと、こんな時代から話が始まるのか!それだけでもぉドキドキしてきましたよ。ガンダムにおける長い長い『宇宙世紀シリーズ』の宇宙開拓史の年代記。
 その最初はこんなショッキングなことから始まるんですね。それにしても巧いなあ、壮大な物語のプロローグにはいつもワクワクさせてもらいます。

 くっちゃべりたい事はなんぼでもありますが、まずは、画面上でウーンと唸りながら感心しまくったカットについてウダウダと。
 


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 未来を舞台とするSFというのは、設定した年代で考えうる最高の未来技術を描こうと必至にもがくのです。逆に、そこに描かれた先端技術こそ当時の産業が目指す次の目標だったりする。
 某大先生はアンテナとメーターのフェチでもあったのですが、あれはあれでそれなりに“っぽい”というか雰囲気を盛り上げるアイテムとしてはいいものでしたけど、では意味のあるものかと問えば、単なるアクセサリー以外の何者でもない。
 要するにソレには役目が振り分けられていない、つまり“必要だから存在する”という道具としての根源的な意味がないから、技術的な感動は得られませんね。
 しかし、ワープエンジンやフェーザー砲みたいな架空の兵器や転送装置みたいな超科学的な装備などの大雑把なテクノロジーはともかくも、実際にそれを人間が操作する場合のインターフェイス…要するにスイッチだのレバーだのといった操作部分だけはなかなか革新的なものにはならんようで。

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 たとえば『宇宙大作戦』では巨大な船外モニター画面、たくさんの動作確認画面、音声入力のコンピューター、整然と並んだスイッチとパイロットランプだらけの操作パネル、様々な電子音などなどで雰囲気を盛り上げてました。もちろん今観ると古臭いんですが、当時は動作確認と言えばそれこそメーターですし、最先端技術のコンピューターが大きなリールに巻かれたテープ式の記録装置と部屋イッパイにいならぶロッカーみたいな本体、文字のみのモノクロ画面とキー入力のみだった時代だったことを思えばすばらしい想像力です。
 それが約20年の時を隔てた続編の『ネクスト・ジェネレーション』ではタッチパネル式の操船装置に進化。ランプ類は電球からLED風に、画面は液晶風に。
 昨年公開された最新作の『STAR TREK11』ではCG満載、CGだらけ。しかし逆にスイッチ類はむしろ洗練されたアナログタッチに。“ヒトに優しい”的な今風のインターフェースなのに感心しました。


 ガンダムも同じで、ファーストの時点でもメカ表現はかなり先端技術を先取りしていましたが、今回の『ガンダムUC』のコクピットは「とうとうここまで来たか!」という実感があります。
 もちろん、今までのガンダムも時代をリードしていて素晴らしいんですが、今回登場するメカのコクピットには、アニメ・実写・特撮を越えて技術オタクならば失禁せんばかりに感動するのではないでしょうか。

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 もともと日本はテレビゲームの関係もあってか、電子的なインターフェースの表現がものすごくこなれていますよね。実際の米軍などで使われているものも参考にはしているでしょうが、ステラリウム(全天型透視装置とでも訳しますか)に表示される3Dコンパスやら、必要に応じて映し出されるモニター画面とロックオン表示などなど、実物が作られるときはきっとこれを真似るだろうと思うほど。

 操縦シーンそのものでこれほど魂の昂揚を感じる事なんかそうそうないでしょう。
 複雑なボタン操作、レバーや操縦桿の扱い、そして可変バーニア(ロケットの噴射口)の動きと噴射そのもののものすごくリアルな描き方。思わず残り燃料の消費度を心配してしまいました。

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 逆に言えば、これだけのことをしないといけなくなった作業量はいったいどんなに物凄いモノなのか。しかもこの前のNHK BSのサブカル番組『MAGネット』によれば、今当たり前になっている、3Dグラフィックによる作画に頼らずに、手描きを基本にしているとの事。

 さらにパイロットを逆Gの衝撃から守るエアバッグの描写(上画像、下段左)。こんなことまで描いたSF、ありましたか。普通は考えつきもしないし、考えついてもまぁええか、とカットしてしまうでしょう。単なる設定を越えた、ヒューマン・インターフェース・デザインの精神…というか、“細かな芸”がここにある。

 もうひとつ“芸の細かさ”に言及するならコレ。

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 このカットでは窓の外、左上に見えているんですが、路上のパーキングメーターとリンクしてるんでしょう、フロントガラスのO.H.D.(OverHeadDisplay)ならぬ、O.V.D(OverViewDisplay)に映し出されている駐車状況。これでは見えてませんけどしっかり『Rent』の表示が。そんなハイテクなのに、なんだかジオンがらみでヤバそうなカーナビ風の装置は、ガムテープでにわか付けというローテク。
 原作にもこの描写があるのかも知れませんが、こうした味のある演出はほんとうに素晴らしい。しかもこれがハリウッド作品だったらわざわざガムテープをUPにして笑いを取ろうとするでしょうが、“気づいた人だけ楽しんでね”的な奥ゆかしさというかツウ好みさがたまりません。

 こういった芸の細かい事をず〜〜〜っとやってきた人が、かの宮崎 駿さんと大塚 康生さん。
『未来少年コナン』『ルパン三世(緑ジャケット版)』『同カリオストロの城』『紅の豚』などを観ていると、メカ…というよりも道具のレベルからお城、はては世界の中身まで、限られた絵の枚数と時間枠の中でも細部までリアリズムを追求している姿勢が作品世界に深い奥行きを与えてるんですね。

 逆にアホほど巨大なモノを描く事も忘れない。

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 本番ではこれを2カットに分けて右下から左上へカメラがなめるんですが、私はこのシーンでぶるぶるっと震えました。あなた、スペースコロニー…というか、人口の世界が造られてゆく有様を観た事ありますか。いや、あるわけないんですが、このシーンが実際に観られるなら私はその場で死んでもいい。
 黒部ダムや明石海峡大橋みたいな巨大建造物をご覧になった事あります?巨大なタンカーの造船所でもいい。今、東京スカイツリーが話題ですが、人間にはこんなことができるのか!というスペクタクルな感動がこの画面にはある。

 しかも、同じハード面でもお堅い部分ばかりでなくて、ノーマルスーツ(通常宇宙服)では、ちゃんと男女の違いが外見からでも見て取れる繊細な描き方に感心したりして。

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 え?腰ですよ、腰。この線から色気すら感じてしまうじゃないですか。
 そしてキャラデザイン。今回のテーマからは脱線しますが、この“オードリー”のなんと綺麗な事。私は可愛いなと思うキャラクターはあまたあれど、綺麗やなあ…と見惚れたアニメキャラは初めてです。
 ちゃんと“Mr.ガンダム”の安彦良和先生のテイストを残しつつ、たしかにこれは往年の安彦キャラ!見事なデザイニングです、高橋久美子さん。

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 しかも彼女の名乗りがとある看板を観たあとの“オードリー・バーン”、おまけに空から落ちてくるなんて!可憐でシンが強くて凜としていて。それまでも才能に尊敬してましたが、このセンスに福井晴敏さんがいっぺんに好きになってしまった♪なにすんねんな、ほんま。

 それにしても見事です。

 毎回、素晴らしい出来映えで魅了してくれる日本のアニメーション。
 たしかに世界を席巻しているのも間違いない。しかし、現状ではまだ日本のアニメーションを映画のカテゴリーとしては誰も見ていないのではないでしょうかね。
 アカデミー賞でも『長編アニメーション部門』というひとかたまりであって、『アニメーション演技賞』『同・美術賞』『同・演出賞』…とはなってない。別物なんですね、最初から。
 かのウォルト・ディズニーでさえ、所詮は子供向けの『まんが映画』からは脱却できなかったし、彼の偉業はむしろアメリカのアニメやコミックの地位を固定化してしまった。しかし、それを打ち破ろうとしているのが、最初からアニメーションを芸術として捉えてきた欧州が日本のアニメーションを認めた事。

 日本のマスゴミはサブカルとか単なるブーム程度だとしか理解できない狭量な視野しか持たないのですが、そんな事でわざわざ世界有数の難解言語の日本語を学んでまでアニメを観ようなんて暇な人はいない。まして今や経済大国ですらなく、日本語など学んだところで世界的なビジネスの役に立つのやらどーなのやら。

 言語を学ぶ事はその国の文化を学ぶ事。文化を学ぶことは歴史を知る事。そしてその国の人間を知る事になる。
 これがどれほどすごい事なのか、お偉いさんはエラくないから、永遠にわからない。

 私が自前の映画ブログでアニメを紹介するのは、そもそもアニメは映画のひとつの表現であり、以下でも以上でもないから区別しないというスタンスから。
 そしてここでは、全然アニメに触れる事もないような、もっと一般の方もご覧になる。

 できるなら、ひとりでも多くの方にアニメは日本が世界へ胸を張って誇れる素晴らしい芸術なのだ、という事を知っていただきたいのです。


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コメント

ま~お偉いさんは、サブカル否定者多いですからね~!
逆に漫画家の小林よしのりさんのように、漫画やアニメの文化化を否定する人もいます。
彼曰く文化にされるとサブカル故の自由度が奪われる可能性がある、漫画が毒のあるものだと言う認識かでしかできない表現があると。
(過去に、掲載誌で掲載を断られ原稿料ただでも載せたいからとガロに持ち込む人だからな・・・。)
ま~ユニコーンはまじで映像がすごいだけでなくブルーレイ限定ですが、ブルーレイライブと言う形でネットワークに繋がったブルーレイマシンであれば、細かい情報をダウンロードできるサービスまで備えています。
(PS3にLANケーブルを刺すだけでもいけます。)
ちなみに、原作小説を読んでいるとあ~この場面がこうなるのかと言うさらなる感動もあります。
ただ初期連載版と、文庫サイズが表紙違いで2種類出ています。
現状3種類出ています。
ジンマネン艦長とマリーダの過去を見ると何故マリーダがあそこまで艦長のために戦えるのかとかもわかります!
マリーダの正体わかっちゃいますけど・・・。

投稿: ポニ萌え | 2010.04.28 22:54

ポニ萌えさん、毎度!
ほほお、これもPS3とのタイアップがらみでしたか。原作は『亡国のイージス』の時みたいに、一通り見終わったら読むつもりです。
むしろ完結するまでは『ガンダムブランド』『人気の作品』てのは忘れて、一本のハードSF映画としてこの作品を味わいたいですね〜。

小林氏の作品はよく知らないんです。絵が気持ち悪くて
( ̄▽ ̄lll) はっはっは

投稿: よろづ屋TOM | 2010.05.01 09:50

おはよーございます。
こっちも先に読んでましたよ~
『MAGネット』もみたし(^^)
でも、技術的な事はコメントできる人間じゃないんで、ふむふむなるほどと思って読むだけ。
いつも参考にさせていただいてます♪

投稿: たいむ | 2010.05.07 07:57

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