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2009.12.19

N式『ヤマト』という幽霊船。

Ghost_yamato
 まず、映画、作品として批判批評するものではないことを明言させてください。
 あくまで、最初のヤマトに心酔したオヤジがこぼす哀しい『N式』ヤマトへの、佐渡酒造ふうな愚痴であります。

 ずいぶん前に、また作るという噂を聞いた時まず脳裏に浮かんだのは『復活ヘン』という誤変換。
 でもコレが一番的を得ているように思うのです。
 パチンコであろうが出来損ないであろうが、どんな状況でも新しく描いてさえあれば嬉しいとまで仰るファンには申し訳ないけど、私はCMを観るのさえ辛い。
 そんな私は、最初のテレビシリーズがヤマトの全てという惚れ方をしたタイプのファン。

 劇場公開版は最初の作品を初日一番、前から四列目中央で観たうちのひとりだし、『さらば』も『永遠に』も初日一番乗り込みで似たような場所でした。

 放映当時中学三年生であり、家庭用ビデオもなければアニメ雑誌もまだ創刊されていない時代には、たったひとコマの絵ですら手に入らなかった。ヤマト自体も絵心のある友人たちで必死に画面を観てスケッチしたものなんです。
 特にちゃんと描けなかったのが艦橋の後ろ部分。そして第三艦橋。当時みんな14インチ程度のテレビだし、登場シーンは一瞬。スケッチブックを見て顔を上げたらもう違うシーン。
 だからカメラを持っていた者は、スローシャッターで必死にテレビ画面を写真に撮って、自分で編集したアルバムを作ってました。そして音だけ、当時高かったカセットテープに必死で録音。
 そこまで心酔していた作品でした。
 もちろんテレビの再放送なんてアテにならない。だからテレビ放送のぶつ切りダイジェスト編集版でも、もういちどあの感動を味わえるだけで…と、どれほど劇場版に歓喜したことか。
 前出のような理由で、フルカラーのパンフは宝物になった。見開きだけのペラペラでしたけどね。

 そして新作として作られたのが『さらば宇宙戦艦ヤマト〜愛の戦士たち〜』だったわけですが、ご存じのように『ヤマト』はここで既に敵につっこんで果てて終わっているのです。
 最初のアニメオタク世代であった私たちは、もう高校生になっていたけど、ここで綺麗にふた通りの反応に分かれることになります。

 ラストシーンを前に、鼻を鳴らして泣いている者と、前作で26話かけて心に刻んでくれた種々の感動をものの見事に踏みにじられて怒り心頭に達する者。そう、私は後者でした。
 しかもそれで終わらなかった。
 むしろマスコミにあおられ、マスコミを利用し、さらにお世辞にも褒められない社会現象を伴ってよくない方向へのブームとなって行く『ヤマト』はこともあろうに『永遠に』で「前の話はナシね。誰も死んでない、ヤマトも無事ね」とちゃっかりと復活してしまったのです。
 それなりにいろんな映画やドラマを観てきたつもりですが、後にも先にもこんないい加減な続編の作り方をした作品は、たぶんヤマトだけ。
 パラレルワールドでさえないんですからね。
 笑わそうとしてるのかと思えるほど出てくる設定が密かに◯◯で復活を遂げていたヤマトが───というもの。しかも、繰り返し、繰り返し。今回もそうなんでしょ?

 まっぷたつになった船をどんな理由で修理するのでしょうかね…新しく別のを作り直すでしょ、普通。まあ、N式ヤマトほどパロディにしやすい作品もありませんでしたけど。


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 これにはさすがに呆れた。私以上に熱心だったファン仲間で、これがきっかけでアニメと決別し、“普通のオトナ”に脱皮していったヤツもかなりいました。

 ヤマト以後もいわゆる“二匹目のドジョウ”狙いで『未来少年コナン』『伝説巨人イデオン』『科学忍者隊ガッチャマン』などなど、放映当時の人気を逆手にとって劇場“ダイジェスト編集”版が次々と作られました。しかしほとんどの場合、劇場を埋めるほどですらなかった。

 N式ヤマト・エコノミックプロモーションのどぎつさに嫌気の差したアニメマニアたちは、地道に人気を延ばした出来の良い作品が、企画会社主導のもとでファンクラブが作られたり、ヤマトのようにいびつな煽られ方や粗悪品ありきで異常なまでのグッズ展開に手を出そうとする様子を、当時ようやく一般化し始めた同人誌や、場合によってはマニアックな商業アニメコミック誌の中でさえも、さんざんにそんな様子をコキオロシたり台詞内でのブラックジョークとして描いています。

 アニドウ・フィルムによるいわば今では幻の出版物となった、アニメ系エンサイクロペディアの超傑作、FILM1/24別冊デラックス『未来少年コナン』(1979年刊)の、さらに幻の付録?だったパロディ誌『太陽塔1/24 未来少年ハナン』のワンシーン。
「人気が出て、グッズが売れて、サイン会やら…」とはしゃぐ主人公ハナンに平手をお見舞いしたヒロイン・ナラが「ヤ◯トのようになりたいの〜〜〜〜〜!?」と叱るシーンは最高の名言。

 ガンダムもヘタをすればN式ヤマトになったでしょう。
 幸い、ヤマトの頃よりも遙かに大人になって、ある程度の冷静さの中で支持されたガンダムは、そこまでは堕落しなくて済んだ。
 おそらく、ある意味いきあたりばったり感のあるヤマトのSF設定とは違い、政治面にまで深く考察されて道理に合った緻密なSF設定のおかげで、多岐に渡る作品が生まれることはあってもワンパターンな焼き直しに終始する必要はなかったことも幸いした。
 ───まあ、今後はどうなるかは分からないけれども。

 実はエヴァンゲリオンの熱狂ぶりはヤマトにもっとも近い印象があります。
 しかしそれとても、あくまで最初の作品の練り直し、いわばリテイク。少なくとも終わった話をラストシーンからご都合主義だけで続きをやろうなんてナンセンスなマネだけはしていない。

 そしてもう、あんな悪夢はないだろうと思っていたのに、とうとうコンナコトになってしまいました。
 これが、ほかのリメイク作品のようにむしろ最初の作品をそのまま今の技術でリテイクするとか、『バットマン・ビギンズ』や『スタートレック』のように別の制作者による完全なリメイクならばまだここまで痛い思いをしないで済んだと思うのです。

 松本零士先生が生み出し、監督した『宇宙戦艦ヤマト』は多くのファンと同様に私にとっても永遠の傑作SFアニメです。今でも、さまざまなシーン、台詞がちゃんと甦ってくる。

 しかしその後のN式ヤマトだけはあってほしくなかった。

 この作品の制作者ほど原初のファンに裏切りを重ね続けた人は、これまでもこれからもいないでしょうね。
 マスコミをまきこんで「テーマは愛だ」を繰り返すたびに私のようなタイプのヤマトファンの心は血を流しています。
 ───いや、滅び去ったガミラスの上空に浮かんだボロボロのヤマトの甲板で「我々は戦うべきではなかった……。愛し合うべきだったんだ!」と叫んでその場にくずおれた、本当の古代進もあの世で嘆いていることでしょう。
 このシーンがあったから、ヤマトの戦いは意味があった。語り継がれるだけの物語として成立した。逆に、このシーンがなかったら今のN式ヤマトが何をやっても何とも思わなかったでしょう。

 でも、幽霊船となったN式ヤマトは、ふたたび新たな血と犠牲を求めて飛び続けるのです。愛だ、愛だと声高に叫び、さらに殺傷力を増した大量殺戮平気をひっさげて多くの他民族を滅ぼしながら。

 最初に『あくまで、最初のヤマトに心酔したオヤジの、佐渡酒造ふうな愚痴であります。
』と始めましたが、当時古代たちの年齢だった我々は、いまや佐渡先生に近いトシになってしまったのだと、あらためて実感してしまいました。

 
「あんたも何度も死に損なって、お辛いでしょう、沖田艦長。そしてヤマト。わしらの戦いは、真っ赤だった地球が青く甦った時に終わったんじゃ…そうじゃろ?宇宙の塵と散っていった多くの英霊たちよ……そろそろ、みんな、本当に眠らせてやるわけにはいかんもんなんかなあ。───なあ、ミーくん。」

 ほんとうのヤマトに、黙祷。そして、敬礼。
  

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コメント

何度か書き直してましたが、長くなったので短くまとめます、、悲しいですねえ、、
昔好きだった娘がふと気が付くとムキになって怒鳴り散らすおばさんに変わっている様な喪失感でした、、、

本当に「彷徨える幽霊船」ですねえ、、、いつまでも死ぬことを許されぬ船員を乗せて永遠に彷徨える船のように、、まさに現代の「フライング・ダッチマン」(永遠に海を彷徨う呪われた船)となってしまいました、、


>個人的には今の作画で最初の脚本を元に破綻した部分を組みなおして映画化してくれたほうがよほど嬉しいですけど(無理を承知で)、、私は「さらば、、」で「アレは誤診じゃった」の段階で見捨てる決意をしました、、ただ最後は泣きました(いくらなんでももう復活はしないだろうと、、)


いや甘かった、、ルノアールのココア並みに甘かった、、、やっぱり「愛」じゃなくて「受」だったと、、

投稿: ざんぶろんぞ | 2009.12.20 14:29

そうそう・・
私は、オリジナルのテレビ放映での「ヤマト」しか見てませんね。
映画になったのも・・。だって・・ですよね。単純に「前ふりはかなく」復活しますから。だったら・・次は、「戦艦武蔵」あたりで・・次の新生乗組員でやってもらったほうが・・すがすがしかったような。大和は、うちの爺が「乗組員候補生」として最後まで残った・・私にとっては、「子守唄代わり」として話しきかされたいきさつもあり、単純に「かっこいい」からとか「売れるから」と・・思われるのがとっても嫌でした。そんな事・・考えます。

投稿: ジャズマスタ | 2009.12.20 15:02

ヤマトは、再放送で何度も見た大好きなアニメの1つ。 ただリアルタイム世代とはちょっとズレていたので、劇場版は記憶に薄かった。(テレビ放送時には観てたはずなんだけど。。)

そして時は流れ6〜7年前に泊まりに来た友人とレンタルしてきた「さらば…」を観ました。確か、劇場版ヤマトがそれ以外借りられてて「さらば…」しか残ってなくて選択しただけで、2人とも内容は覚えてなかったのです。

で、ラストで…びっくりというか、逆に笑ってしまったくらいですよ。

今回の復活編は、ちょっと前にテレビCM見るまで制作されてることも知らなかった。キムタク実写版の話に気を取られてるスキに何やってくれちゃってるのか?!って。。。
「銀河鉄道999」での劇場版3作目も違う意味で「やっちまった」状態だったし、松本零士作品は蛇足が付き物になってしまったんでしょうか?

投稿: SAK | 2009.12.20 23:16

ざんぶろんぞさん、ようこそいらっしゃいませ!
うわあ、ふじもっちさんに続いてざんぶろんぞさんまで!
ありがたやありがたや。( ̄人 ̄)
娘がおばさんに…うーむ、言い得て妙?私としてはどっかの車検屋さんの看板に『大ヤマト』を見た時に、往来にもかかわらず、おもわず「うそーーーー!!」と叫んでしまいましたが、その後パチンコを経て、まさかこんなことになろうとは…
痛い。痛すぎる。松本センセ。でも今回はクレジットにもその名を載せなかったという事なので、さすがに…もう、気づいてくださったのかと思いたいです。

≫やっぱり「愛」じゃなくて「受」だったと

うあー。上手すぎる。しかもズバリそのまますぎて、ほんまに情けない。
てなことで、これからもよろしくです。
 
 
ジャズマスターさん、毎度です。
私も最初ので満足して、あとのは観なければ良かったと後悔しています。もしかしたら今度こそまともに…と三度目までは観たのがいけなかった。
結局観たのは、過去の栄光にすがる姿と、いつまでも儲けに利用しようとする汚さと…
仕事でやってるから、と人は割り切れた人はいいでしょうが、そうでない人は辛いだろうと思います。聴けば嫌がって参加しなかったアニメーターはあまたおられたというし。
せめてアニメ史上最大の汚点でも、過去の事でいてほしかった。また繰り返すなんて酷すぎる。
ヤマトは、大和と同じ使命を帯びて復活し、宇宙で戦って、今度はイスカンダルから無事に帰った時点で終わったんです。
だから今のはN式。名前が同じでも別物。赤ルパンと同じですね。

投稿: よろづ屋TOM | 2009.12.20 23:34

おお、SAKさん、いらっしゃい。
お二方にコメント書いてる間に来てくださってたんですね〜。
私らもっとも多感な時に観たリアル世代にとっては、オリジナルに感動すれば感動しただけその後のN式商業主義による穢され方が許せなかったんですよ。
まして、ハイジに完敗したヤマトの良さを他の人たちに知って欲しくて、メジャー化運動したのは他ならぬ私たちの世代だったから尚更許せなかった。
なけなしの小遣いから映画代をひねり出して続編を観に行って、「だれがこんなもん、作れといった」と本気で怒ったファンは少なくないの。
『999』もね、りんたろうさんの最初の劇場版だけで良かった。私ら、テレビのは『各駅停車』だと笑ったもんです。原作、全巻持ってますけどね。ぶっちゃけた話、1巻と最終巻だけで充分。
いずれにせよ、過去の作品はエンドマークを打った時点で終わるんです。『マジンガー』や『ゲッターロボ』みたいにまるごとやりなおすならともかく、続編でやりのこしを埋めようとするのは間違っていると思います。

投稿: よろづ屋TOM | 2009.12.20 23:43

コメント2発目失礼致します。
キムタクおじさん主演のあっちとか、パチンコ6連射波動砲のこっちとか、ホントいじられる作品ですねぇ。

中学生の時に侍ジャイアンツの後番組として登場したこの作品、当時の子供の目からすると、大変オトナびたTVマンガでした(アニメと言う言葉は当時はない)。
まず、1話完結でなかったこと(19:00からTBSでやっていたグレートマジンガーを考えるとよく解ります)、宇宙船の描き方が今までなかったアングルと流し方(実際には不可能?)、メカが漫画的ではなくとても細かい事、爆発シーンが漫画的でなかった事など、今の目で見ますと、雑な部分や「オイオイ」的な部分もありますが、35年前のガキにはものすごいインパクトでした。
なかでも一番は、主砲の発射シーン。撃った瞬間に反動が付く事、画面がホワイトアウトすること、光が艦橋に反射することなどでしたねぇ。

夕方5時?の再放送開始の際には「やった!」と小躍りして喜んだものです。そして高校の時に「映画になる」と知ったときはそりゃ期待しました。なんせでかい画面で見れるのですから。オヤジには出勤途中にある渋谷東急の前売り券を買ってもらってきて楽しみに待ったものです。前日夜にはニッポン放送が特番を組み、徹夜組へのインタビューなんかをやっていた記憶があります。
その日オヤジが言うには「中高生が映画館を取り囲んで徹夜してるけど親はどうしてるんだ?」と驚いていたのを覚えています。
結局初日は臨時に東急パンテオンを始め、東急全館が臨時にヤマトを上映して客をさばいたはずです。
私は混雑を避け、数日後に行ったように思います。

あのラストには驚きました。
「えええーっ??」館内がどよめきましたよ。
あまりに不評だったのか、その後のTVでの劇場版の放映では、TVシリーズの部分に取り替えてしまった(画像の質が急におちるのですぐ解ります)ので、映画館で見ていない人が多い今となっては「幻のエンディング」になっているようですね。

ついつい語ってしまいます、スイマセン。

投稿: A・P | 2009.12.23 23:52

A・Pさん、再度のお越し感謝です…おお、たしかにこれはメカネタだ!
劇場版のラストは実は全然記憶ないんです。
それよりも、大阪の某有名大型映画館ではガミラス星が崩れてデスラーの上にガレキが落ちるシーンでフィルムがブチ切れてブラックアウトしたんで。
最初、みんなそれは演出だと思ってたんですが、待てど暮らせど続きがなく、やがて劇場が明るくなって…20分以上待ったのではなかったかなあ。

しかも二度目の上映でも同じ場所でまた切れて…ちょっとないアクシデントでしょ。これじゃあ、ラストなんかよりインパクト強すぎましてね。

キムタクの実写か…そうでしたね…まだまだ幽霊船は彷徨うんですね…
エロイムエッサイム、りんびょーとーしゃかいじんれつざいぜん、怨敵退散、はらたまきよたま。オンアボキャーブンガワンソロ。とっとと成仏せい、ヤマト。

投稿: よろづ屋TOM | 2009.12.24 00:23

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