い〜仕事してますねぇ〜(´〜`*)『けいおん!』
4話まではおだやかでのほほ〜ん…なノリだったのに、驚異の過去を持つ顧問:さわ子先生が加わった事でがぜん“日本のお笑い系アニメーション!”そのもののダイナミックな魅力を加味する事になったわれらが『けいおん!』。
いやもう、腹抱えて笑いました。体当たり的な動きの連発で笑わせるのはチャップリンら活動写真の時代から今はジャッキー・チェンへと受け継がれているコメディの真髄ですが、いまやこの質の高い笑いは日本製アニメーションがもっとも濃く遺伝子を受け継いでいる気がします。
とはいえ、アニメーションに於いてその演技のすべてはアニメーターさんたちと声優さんが担うわけです。
というわけで今回はスタッフに眼を向けてみますね…でも画像もイパーイだ。
キャラクターの絵ヅラそのものは眼や表情の描き方から『らき☆すた』の同族的な印象が強いんですが、背景や小物へのこだわりはゲーマーやアキバが話題の中心にあった『らき☆すた』よりもはるかに生活感にあふれ有機的な気がします。
ことに彼女たち、一番ガサツっぽい律でさえ現代の女子学生にしては派手さのない、むしろ大人しすぎる程の上品な演出は、見ようによっては乙女チックコメディならではの嘘くさささえあるのかもしれませんが、それにしても本来オトメの誰もが持ち合わせているはずのオンナノコ特性の筈。
だからこそ『けいおん!』には“なごみ”が生まれているのだと思うのです。
逆に言えば、彼女らはどんなにはしゃいでも下品にならない程度の慎ましさや恥じらいを持っている。
私も含めてイマドキのヘタレな大人たちの誰もが恐れて、若い人たちにやろう、やってあげようとしない、お行儀の躾やものの考え方のお手本にして欲しいくらい。
じっさい、澪や律などはさわ子先生の仮の姿であるおしとやかさ・たおやかさに憧れてたわけですから、やっぱりガチャガチャわいわい型よりも上品な方が女性として断然素敵だってこと、分かってるんでしょうね。
しかしさわ子先生、ガキっぽくて破天荒なようでもやはり大先輩で皆のお師匠さま。そして彼女という“オトナ”が一人加わった事で物語にしまりがでてきましたね。えらいもんです。
どんなに話が面白くてもキャラクターに魅力があっても、登場人物に年齢差のない物語はどうしても厚みが出てこないのは否めません。世界は子供だけでできているわけではないから。
やっぱし嫌われてもうるさがられても、オトナの誰かがロッテンマイヤーさんにならないといけませんね。ハイジの物語では嫌われ役でしたけど、不器用でもあれが彼女の子どもたちに対する思いやりであり、愛なんです。
それはともかく、そうした上品できめ細かな演出や動きに毎回感心&感動してたんで『らき☆すた』のスタッフだろうなあというのはテイストから予想できたものの、作画監督の堀口悠紀子さんは『涼宮ハルヒの憂鬱』『CLANNAD』の監督だったと知ってそれなら当然のディテールだったと納得。
それでもアニメーターのサガというか、大人しく美しいアニメをちまちまやってるとフラストレーションが溜まるのか、さわ子先生による超絶アニメテクみたいなシーンを描きたくなるものらしいですね。『CLANNAD』でも渚のおとーちゃん&おかーさんのギャグシーンや、M担当の春原クンvs智代対決シーンなどはかなり遊ばれていたし。
むしろさわ子先生の登場を今か今かと待っていたのはスタッフの方だったかのような元気いっぱいの5話以降。
とはいえ、それでも脱線して行かないで微妙な四人のバランスを保っている脚本と進行はスゴイと思う。
だってねえ、主人公が唯ちゃんですよ?この辺が今のマンガなんでしょうかねえ。昔のマンガなら主人公は律か澪にしろ、と編集側で言うでしょう。
『らき☆すた』もマイペースでしたけど、あれは泉こなたというキャラの牽引力が強力でしたのでそういう“危うさ”はないんですよね。
その点でいうなら別スタッフですが『スケッチブック〜full color's〜』なんか驚異です。あれで、あのノンビリさでちゃんとお話になってるなんて。でも欠かさず観たし、今も大好きだし。
いい時代にまりましたですねえ。
同じく『けいおん!』のな〜んともいえない温かさを持った“のほほリズム”が気に入ってるんですが、スタッフを辿ってみるとなるほど、シリーズ構成をされてる吉田玲子さんという方は、ARIAで脚本を書いてた方だったんですね〜。
あの文字通り、たゆたうようなリズムを持った美しい物語のシリーズを4シーズンに渡ってしっかり描いてこられた方なら、さわ子先生みたいなすごい個性が入ってきても『けいおん!』の微妙な人物関係のパワーバランスを保ったままで話を書いてゆけるんですねえ。
ほんとにすごいことです。驚異的な脚本力です。普通ならそれぞれのキャラに振り回されてるうちに主人公が誰か解らなくなって、物語が壊れていくことでしょう。
そして登場以来、唯ちゃんと妹とのカラミが微笑ましいのを通り越して、7話のエピソードでは妬ましくも羨ましくさえ思える姉妹愛にふと『スクールランブル』天満&八雲の塚本姉妹を思い出したんですが、そっちもこの吉田玲子さんによる脚本だった事に納得。
そのほか、ウィキで彼女の仕事一覧を見てゆくと、私が大好きなアニメばかりずらっと並んでいることに驚くと共に、こんなに感動をくれていた作家の名前を覚えておかなかった自分を恥じました。
…しかしこうしてスタッフとかの話を嬉しそうに語ったりすると「ふん、オタクだなあ」って上から目線で捉える方がおられますが、不思議な事に映画俳優や監督の話だとそれをオタクとは呼ばないんですよね。
ここらへんがまだまだ日本ではアニメが映像芸術として認められていない証拠なのでしょう。
いつの日か、ごく一部の監督だけでなく、実際に絵を描いているアニメーターたちがひとりひとりその技量に応じた名誉を得られる日が来るんでしょうか。いや、来ないとウソです。来なくてはなりません。
日本でいう“名工”とは、“名もない工芸職人”のことではないかと思うほど、日本という国は昔から技術者に冷めた国です。こんなことではダメですね。だから景気がいつまでも回復しない。
今回もチョー長くなりました。すみませんね、良い作品を観ると嬉しくて、つい。
最後に、『こんな細かい事してる。すんげー』なカットをドバドバと…紹介画像も細かいけどね。
とにかく食べ物が美しい。しかも止め絵でもいいのに、皿を置くカットがあるときなどは、ブツを動かすときの質感までしっかり描いてあったりする。
そして初詣のシーン、顔を寄せ合ってするナイショ話にしっかりと台詞にシンクロした白い息が。別に描かなくてもいいはずですが、この処理ひとつで声よりも息が多く出てる=ヒソヒソ話らしさが伝わる。(女の子同士だけにセクシーですしねえ)その次にいつになくコーフンしたむぎちゃん。ふたりの台詞がかぶって、どっちも何を言ってるのか分からないんですが、それでいいんですね。
リテイクして聴き分けられるようにするよりも、そのほうが臨場感があるなあと感心した次第。
このシーンでは台詞の内容よりも“あのむぎちゃんがこんなにコーフンしてる!?”がポイントですからして。
逆にさわ子先生の本性発覚の回では、他で動かした分、30秒以上の止め絵で予算調整(?)してたりして。うわ、どこまで止めで行くねんな…と、わたしゃ変に心配してしまいましたよ。
あと、カメラワークが上手いんですよねえ。カメラったってアニメだから構図の設定なんですけど、ハイ・ロー・俯瞰・アオリ・回り込み・どれも実に凝ってる。
三段目の左とその隣、同じ配置で90度回ってる(唯と律の姿勢に注目)んですが、ものすごく映画的な手法。いざ絵で描くとなると大変だったりして。
アニメーターを目指すヒトだけでなく、マンガ、テレビドラマ、映画、とにかく映像を仕事にしたい人はこういう映像づくりを徹底的に吸収したいものですねえ。
しかもファンサービスのカットも常に忘れない。いや、サービスカットてのはHシーンだけじゃないですよ。最初の紹介画像の真ん中のさわ子先生の“イヒ笑い”がそうでしょう。(師弟のWペコちゃんスマイルも最高ですが)
(´〜`*)=3 ほんまにいい仕事してますねえ〜〜〜〜〜〜〜〜
ほんじゃ、また。
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