宇宙デブリは深刻な問題。今こそプラネテスに学べ!
『米露の大型衛星同士が宇宙で衝突…大量の宇宙ごみ発生 -』(2009年2月12日14時19分 読売新聞より)
今回の人工衛星同士の衝突事故で真っ先に思い出したのは、歴史に残るSFコミック&アニメの名作『プラネテス』。
2070年代。宇宙に散らばったスペース・デブリ…すなわちロケットの打ち上げの際や事故で宇宙空間地球周回軌道上に拡散しているゴミ、通称デブリをヒトの手で回収することを生業とする主人公たちの生活や生き様を通して、ヒトの目指す宇宙への道、ヒトがうち捨ててきた犠牲への再考をテーマとする傑作SFで、コミック・アニメともにSF文学の最高賞である『星雲賞』を受賞した作品。
宇宙ゴミ、なんて言い方をしてもピンと来ないのですが、物語の冒頭、空間をさまよう小さな小さなネジが映し出されます。
一見、浮いているだけに見えるこのネジ、実際には時速にして1万から数万kmという、拳銃の弾丸(初速でもせいぜい時速1000km、亜音速程度。ただしライフル銃の場合はその3倍ともいわれる)など及びもしない超高速で飛んでいる。空気中なら空気との摩擦で簡単に燃え尽きるのに、真空の宇宙ではこんなこと当たり前…
それがたまたま近くを飛んでいたスペース・シャトルの窓に当たる───。
ロングショットに切り替わった画面を、ガス状の気体を撒き散らしながら音もなく同じペースで横切ってゆくシャトルの姿。
これが何を意味するのか、シリーズの前半分の数話目に分かってくるのです。
種明かしをしてしまうと、このシャトルのデブリ衝突事故で妻を失ったのが主人公の同僚、ユーリなんですね。しかも皮肉なことに妻の遺品はもちろん、遺体さえもいまなおデブリとして周回軌道上を彷徨っているわけで、彼がデブリ屋になったのもそれを見つけることだったんですね。
TVのニュースなどを観てる限りでは、今回の事故のことは割と簡単にスルーしていますが、じつはネジ一本でさえこんな可能性を秘めているのです。
宇宙空間に散らばるゴミは、何かの化学的反応で変質するか、どこかの惑星・恒星にでも引き寄せられない限り永久に、そう、永久に無くなることはないんです。
かつてパイオニア10号が宇宙の果てへ向けて打ち出され、今も太陽系外枠軌道を越えて翔び続けているわけですが、これもデブリ同様、永久に翔び続ける。
参考記事として『宇宙空間はゴミだらけ、人工衛星の破片など1万個』(2009年2月13日09時24分 読売新聞より)
…なんてのも上がってましたが、1万個!? そんなに少なくないはずですよ。スプートニクあたりからかれこれ50年、ネジ一個、ナットひと粒でも秘めた運動量と破壊力は変わらないんですから。
だから「近日打ち上げられるアメリカのシャトルには影響ない」なんて呑気なコメントはありえない、あってはならないんですよね。
デブリのことを一般人にあまり知られたくないのか、21世紀になってもハリウッドで作られるSFにデブリの描写が登場したのを見たことがありません。(劣化ウラン弾のことと同じ扱い!?)
一方、日本ではガンダムなどに限らず、いまや地球圏での宇宙描写に大小の扱いはともかくも、デブリの存在を抜きにしては作れない『常識』になっている。
外宇宙に限らず、宇宙ステーションや月面基地を作ると同時に、いわゆる『防御スクリーン』『バリアー』と呼ばれてきたSFの必須アイテムをホンキで開発し実用化しないと、人類は宇宙先進国がテキトーにやってきたことの代償として、地球へ封じ込められることになるんですよ……
もう、打ち上げ式、使い捨て式のロケットは時代遅れです。
■ウィキでスペース・デブリの怖さを知っておきましょう。→■■■
■んでもって、『プラネテス』を観てヒトと宇宙と自然のことを真剣に考えましょう。→■■■
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コメント
その漫画知らんかったです。
やっぱり日本の漫画は世界に誇る文化ですね。
ハリウッドのSFが描かないようなことを描くなんて♪
宇宙ゴミのことはずいぶん前にどっかで聞いたことがあります。
宇宙ステーション自体がすでにゴミ寸前の状態になっていて、いつかは宇宙に置き去りのでか過ぎる粗大ゴミになるしかないんだとか。
そして問題なのは、そこに使われている放射能物質なんだそうです。
放射能物質が、どういう役割で使われているのか知りませんが、万が一、地球の重力に捕らわれて引き寄せられるように地球に落下してきたら、、、
なんやどえらい大惨事になるんだそうな。
昔は海は広いってんで産業廃棄物や排水をどんどん海に流したり埋め立てたりしていましたよね。
そして海が限りあるものだったことを知るんです。
それと同じように、宇宙も実は限りあるものだったってことにいつか気づくんでしょうか?
投稿: ビタミン店長 | 2009.02.14 16:22
店長さん、毎度です!
この作品、店長さんにはぜひご覧戴きたいなあ。ものすごくスケールが大きく、しかもちゃんと“地に足着いた”見事なシナリオなんです。
特にデブリと宇宙に生きる人たちの生き様を描いた前半、宇宙に挑むことと、地上に生きることのギャップを描いた後半、そしてそれらを貫く主人公たちの夢と挫折、そして再生は店長さんの胸にかならずしみ通るハズ。
レンタルもありますが、きっとまたBSあたりで再放送する機会もあると思います。
投稿: よろづ屋TOM | 2009.02.14 23:13
最近また漫画やアニメ見たいなぁって思ってるとこです。
これ、見たい見たい(^O^)
投稿: ビタミン店長 | 2009.02.15 01:49