『アンディ・ラウの三国志』こんなんもあったのね。

『アンディ・ラウの三国志』なんて書いてしまうと、まるで60年代のコメディ映画のようですが、大真面目な中国時代劇(“ともやの映画大好きっ”のともやさんによると武侠映画というらしい)ですので誤解なきよう。これで検索した方が早かったんですよ。
ほんとのタイトルは『三国志』、ネットで調べるとサブタイトルとして『龍の復活』てのがついているらしいのですが、公式サイトにはんなことひと言も書いてない。途中で変更されたんでしょうか。
それにしてもこの看板文句の『完全映画化』てのは、やはり『レッドクリフ』みたいにパートに分かれた作品ではないよ、という意味なんでしょうねえ。陳腐なコピーです。
つい先だって『レッドクリフ』をボロクソにこき下ろした私は、やはり三国志が大好きなひとりでありますが、あえてふたつを比べるならば断然私はこの作品の方を支持したい。
三国志の登場人物の中でもとくに高潔なヒーローで知られる趙雲子龍(日本読みでちょううんしりょう)を主人公にした異色作なんですが、従来の『演義』に慣れた三国志ファンほどビックリします。
まずアンディ・ラウ演じる趙雲の出で立ちからしてオリジナリティに富んでいます。中国では昨年の今頃公開されていたようで、その時も鎧兜が日本風だとか色々言われたようですね。
たしかに魏軍の兵士が被っていたのは前立てのない状態の頭形兜(ずなりかぶと)そっくりですし、蜀のそれは第二次大戦時の英国陸軍の洗面器型。
でもこういっちゃミもフタもありませんが、二千年前の記録の信憑性を考えると“これは違う”と言いきることもできませんし。
逆に言えば、晩年の黒澤明の時代劇はかなり衣装や舞台装置が演劇的で、従来伝え聞かれる戦国時代のそれとは随分かけ離れたものでしたが、フィクションである以上大切なのは見せかけではなくテーマとシナリオだとあえて言いきります。
そういう視点で改めて見ますと、むしろ三国志なんて大看板を掲げるよりも『子龍伝』みたいなタイトルにしてしまったほうが熱狂的三国志ファンに余計な期待をさせないでいいのではないかしら…と思います。
中国ではどうか知りませんが、日本のコミック界において三国志はかなり活発にフィクショナライズされていますよね。昨今では全キャラクターを女子高生に置き換えたトンデモナイ作品までありますし、正調の描き方でも池上遼一氏の『覇〜Load〜』などは劉備が日本人、関羽は坊主頭でくだんの趙雲は女性でしかも…というブッ飛び方。そや、『鋼鉄三国志』てのも観た。
これが日本の戦国期のネタだと『花の慶次』で知られるようにもっと無茶してます。あ、戦国期ではないけど高河ゆん氏の『源氏』なんてトテモ内容を言えません。
そう考えてゆくと、この作品はもう誰がどうなって何をしても、物語としてよくできていれば良いとさえ思えてきます。いわゆる三国志の英雄たちならではの超人的な戦闘シーンなどもある程度道理に適った武器と戦法で『レッドクリフ』よりはるかに現実的と言えますし、盲目的に殺し合いまくる互いの兵士達の、全滅か勝利かしか考えられない狂った戦い方も三国鼎立末期の崖っぷち的サバイバルの心理状況を考えるとあながち全否定もできません。
ただ、たしかにアンディ・ラウによる、アンディ・ラウの映画であるし、いまひとつ話の厚みに欠けることは否めませんが、三国志登場人物中でもファンが多く、また蜀国の末期を支えた武将としての超雲子龍の最後を描いた作品は少ない(私の経験では観たことがない)ことを思えば、もっと今後スポットを当てられてしかるべきキャラクターでしょう。
滅び行く母国を背にし死を目前に最後の戦場に立つ馬上の老将・趙雲の姿は、長篠の戦いに赴く武田騎馬軍団の勇将たちを思わせますし、昨年亡くなったチャールトン・ヘストンの代表作のひとつ『エル・シド』のラストシーンを彷彿とさせます。
若き日に名声を得、老いてなお現役で最前線に立って尊敬を集める名将でありながら、なぜか映像化されていないという意味では『三銃士』のダルタニャンもそう。(母国フランスでは大河ドラマになっているのかもしれませんが)いわゆる『三銃士』『四銃士』はダルタニャン物語全編の前から20%くらいに過ぎないのです。実はじいさんになってからの彼の話の方が味わい深い。
ビックリする、という意味ではマギーQ演じる曹嬰の美しさもそうですし、孔明役の役者さんもそうでした。メガネを取った円広志氏によく似てまして…
注・映画をご覧になる方は空白部分をドラッグ反転したりしないように。
■日本語公式サイト→■■■http://www.sangokushi-movie.jp/
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コメント
アンディ ラウ 好きです♪
レスリー チャンのあとはアンディしかいない!
三国志は横山光輝のを読んでましたが、あまりの長さに赤壁の戦いあたりで挫折しました。
孫堅と太史慈のエピソードが1番のお気に入りなんですが(マイナーですが)
映画にしたらそれだけでも最低30分は必要なくらいですから
三国志を描く映画だったらどこか(誰か)にスポットライトを当てた描き方じゃないと物足りないです。
アンディの趙雲、良いかも(o‘∀‘o)
投稿: ビタミン店長 | 2009.01.18 14:26
レッドクリフですらカオスだったのに・・・。
まだやりますか・・・。
三国志の名をかたった作品、ちなみに自分は横山光輝三国志から吉川栄治にいってそのあと適当に読んでいますね、結構劉備が死んだところや赤壁とか劉禅降伏で終わっているのが多くて、魏と呉の最終決戦描いてる作品が少なくて・・・。
そこらへんの情報が、昔のログインの三国志研究位しかないんですよね・・・。
光栄がネタで出さないかな?
投稿: ポニ萌え | 2009.01.18 14:43
店長さん、毎度〜〜。
アンディの巧さのひとつに、年齢まで化ける所があるんですよ。
この作品でも若者から年寄までやってのけて、ほとんど無理がないの。そりゃね、肌とか細かいことを言えば色々ありますが、眼。
若者の眼と、年寄の眼を見事に演じ分けてます。これには舌を巻きました。
賛否両論あるでしょうが、私はこういう三国志の描き方の方が無理がないし面白く創れると思います。
投稿: よろづ屋TOM | 2009.01.18 19:19
ポニ萌えさん、毎度!
三国志に限らず、西遊記も水滸伝も封神演義も、中国古典の名作と言われながら、その実どれも尻切れトンボでしょ?途中で急速に面白さがしぼんでしまうんですよね。
ですから個人的には五丈原のあと、唯一勝ったはずの魏でさえも晋にとってかわられてゆく話も面白いと思ってます。
ざっくりはしょってプレ三国志やアフター三国志が知りたかったら『十八史略』がオススメです。
アレなら項羽と劉邦も三国志もモンゴルもアッちゅー間に読み解けますよ。
光栄の三国志ネタはね、シブサワ・コウが出してるPCゲームの公式ガイドブックに歴史が詳しく載ってます。少なくとも1から3までは出てました。(持ってるし)古本探してみたら激安で読めると思いますが…
投稿: よろづ屋TOM | 2009.01.18 19:29
こんばんは、よろづ屋TOMさま♪
>ともやさんによると武侠映画というらしい
えっ、中国時代劇と武侠映画は違うの?
(ともやの中ではアジアの時代劇は、全部武侠映画に分類されてるんですけどね・笑。「LOVERS」も「HERO」も「ワンス・アポン・タイム〜」シリーズも一緒だお!)
予告編を観ていてちょっと心配なのが、鎧が割と地味なので、個=登場人物をちゃんと認識できるかな…っていう点。
登場人物多そうだしね・笑。
投稿: ともや | 2009.01.19 03:22
ともやさん、毎度〜。
(-_-;)そーなのか。イコールでしたか。
そこでウィキで武侠映画の定義ってのを調べてみると、映画ではなく小説の説明として書かれてたのによると、『中国の大衆小説の一種で、武術に長け、義理を重んじる人々を主人公とした小説の総称』だそーな。
とすれば、レッドクリフは謀略と殺戮の限りを尽くすし義理はあんまり重んじてない話なので外すという方向で。(^^ゞ
えーと、登場人物、そんなに多くありません。サモハン入れて10人程度です。
鎧は地味ですが、出てる主要人物の顔は派手なのでオッケーです。地味な顔の人は服装で見分けられます…てか、そうでないと劉備と孔明さんが全然そうは見えない…あ。たしかに曹操は兵士と見分け付かんなあ。
まあ、彼はチョットしか出ませんのでスルーしてください。
投稿: よろづ屋TOM | 2009.01.19 18:15
こんにちは
私は三国志の予備知識は皆無なので
役者が素敵で面白ければなんでもオッケーなんですが
たしかに「レッドクリフ」よりも
こちらの方がコンパクトなのに深みがあって
好感が持てるかもしれませんね。
(エンタメに徹したレッドクリフも私は好きですが)
こちらもエンタメ的な脚色がないとはいえませんが
全体に渋い!です。人間がしっかり描かれているような気もしました。
趙雲って魅力的なキャラなんだなぁと
ますます惚れてしまいましたわ。
投稿: なな | 2009.09.05 16:52
ななさん、おひさしぶりです〜。
私はどんなお話でも出来・不出来以前に、どれだけその作品が困難な事に挑戦しているかを重視する傾向があるようです。
そういう点ではやはりレッドクリフは普通の作品なんですよね。エンタメだから内容が無くてもいい、みたいな作り方をしているように見える映画はやはり心に残らないですし。
誰かウソみたいにお金をかけてないのに、脚本と演出で感動させてくれる三国志を作ってくれないもんでしょうかね。
投稿: よろづ屋TOM | 2009.09.06 00:01