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2008.12.01

『かんなぎ』もう、メロメロです。

Kannagi_02_2

 初回のプロローグからして好きなシチュエーションだったんですよね。
 大きな梛木(なぎ)の樹の下で奇妙な虫をつかまえた幼い少年。その手からそっと虫をとりあげ、「危ないからダメだよ」といいたげに優しげな微笑みを浮かべ、少年の頭を撫でる巫女姿の少女。次の瞬間、もうその姿は光の中に───。
 そんな神秘的で意味深なシーンのあとに続くオープニング主題歌は打って変わってアイドル歌手となったナギさまの魔法少女風オン・ステージ!あまりの切り替えにビックリしますが、またその振り付けの見事なこと。
 
 その展開のギャップもすごいけど、それがもお、可愛くて可愛くて…しかも歌と踊りの合間・合間に挟まるのがアイドル・ナギさまの日常ドキュメンタリー風で、登場人物たちが彼女を取り巻くマネージャーだったりメイクだったり、振り付け師だったり。
 その短いワンショットごとにナギや登場人物たちの性格がしっかり見え隠れしているという見事な演出。物語が始まる前から豊かなキャラ展開に期待が高まります。
 また歌を歌ってるナギさま役の戸松遥(とまつ・はるか)嬢の上手い事。
 

かんなぎ

 あとはもお、毎回毎回どんどんのめっていってしまっております。
 それもそのはず、スタッフを見て納得しました。シリーズ構成や脚本は『R.O.D.』『かみちゅ!』『ガン×ソード』の倉田英之氏だったんですね〜。
 そして監督が『フルメタル・パニック』『涼宮ハルヒ』『らき☆すた』の山本寛氏というのも納得。こまかなしぐさの凝り様や大胆な動きとのメリハリの効いた対比、空間を活かした斬新な構図の取り方など、こだわって観るファンや新人アニメーター・映画監督見習いには学ぶところだらけです。

 また、お話の軸線をぶらすことなくしっかりこっそり遊びの演出もやってたり。(第5幕だったか?には倉田英之氏が端役の声で出演していたようで…しかも原作者の武梨えり氏も。)
 お楽しみと言うべきEDには毎回若手の漫画家やアニメーターたちのオリジナルのナギさま絵を出してくるところは『月詠』みたいでなかなか楽しいサプライズ。
 思わず私も描いてみましたよ。ナギ様大好きですが、好み的にはやはりいじらしい青葉つぐみ嬢にラブラブです。とくにCVの沢城みゆき嬢の健康的な色気が大好きで。

Toms_kannagi450

 ▲この絵で『TINAMI』の“かんなぎまつり”に参加してみました。参加者が増えてきたのでだいぶ前の方へ押しやられてしまいましたが。
Kan_banner

 そして、原作になぞらえているのかどうかは不明ですが、第7幕のように声のみでナギがほとんど登場しない回や第9幕のように完全にワキに廻るなどの冒険的?なことまでやってのける大胆さ。
 種明かしすればいろいろ苦し紛れなウラもあるのかもしれませんが、“これはこれで楽しい”見せ方になってる所はやはり「上手い!」と唸ります。

 けど、お話の設定自体はさして珍しいものではないんですね。むしろ手垢のついた古くさいほどのもの。
 神様ではあるけれど身体は人間の15歳の中学生の女子、しかも美少女という設定でありながら、子供っぽい体格にコンプレックスを持ち、諸処に的確なボケネタにドジネタや萌えネタを満載。
 通貨価値を理解してなかったり世間の事に無知かと思えば、ジャンクフードやドレッシングをごはんにかけて食事にしたり(ガン×ソードの主人公バンもそんな食生活だったけど…)テレビなどの文明の利器に対しては妙に馴染んでたりサマ◯サ◯バサのブランド志向について一家言あったり。
 ここらへん、矛盾と言うよりこれまでも時々(数十年に一度くらい)は神様として世の中にさまよい出ていたのかとも受け取れたりもして、かえって自然に見えるから不思議。
 そして筆者のごひいき、主人公の幼なじみの青葉つぐみや変人だらけのクラブの先輩同輩などもコミック的にありきたりと言っていいほど定番の設定なのに、キャラクターの壊れ方とリアリティが絶妙のバランスを保っているために毎回実に楽しくて意外な展開になって行く。

 筆者的にはなによりも、物語中にあふれる笑いの質が上品なのを褒めたい。主人公である仁(じん)の純情ボーイという設定もありきたりでありながら、よくあるH系アニメの主人公のような“無理矢理純情にしてるフリ感”もなく、反面、中学生男子らしい健全なスケベ心も備えている。女の子達もそうですが、あだち充的健康派エロティシズムとでも申しましょうか。

 …と。ここまでならよくできた楽しい学園オカルトコメディです。
 でも『かんなぎ』には人をじんわりとあったかくするハートがある。

『かみちゅ!』では神様や精霊はどこにでもフツーに存在するんだよ、と自然に思え、信じる事ができるようになるホントに素敵な作品でしたが、『かんなぎ』はそれに加えて、神様=自然に親しみ、同時にうやまう事を思い出せる素晴らしい作品だと思うのです。

 いろんな人が適当に作った勝手な宗教観に関係なく、生きとし生けるもの、生命のあるものないもの、全てに“存在”という魂が宿るという考え方は、日本に住む人が古来より心の底に持ち続けている原初的で大切なもの。
 この心がある限り、日本という国は日本でいられると思っていますが、もういちどこの心を思い出して欲しいな…という優しい気持ちが感じられるのです。

 原作はあえてあとから追って読んでいるカタチなんですが、『かんなぎ』のお話に一番惚れたところ、それはナギの、産土神(うぶすながみ)としての慈しみの心がちりばめられている所なんですね。
 ナギはいわゆる『土地神』で、彼女の存在理由はぶっとんだところまで含めれば『もののけ姫』におけるダイダラボッチと同じで、生と死と再生を司っているわけです。
 プロローグで登場した虫は実は澱んだ気が凝縮して生まれた“ケガレ”で、土地神である彼女は本来そうしたものの浄化も司って、チカラの及ぶ範囲に棲む者たちを災いから守っているわけです。

 第三幕では棄てられた子猫が登場し、ナギは子供っぽい感情から「飼いたい」と家主である仁に懇願するのですが、やがてその子たちのことを通して仁はナギの本来の姿、あるいは存在理由をかいま見る事になります。
 印象的なのはその時のナギの態度。素晴らしいカタチで私の予想を裏切りました。

 普段は我が儘でルーズで言いたい放題の子供っぽい少女・ナギの対極にある、母性の権化のような産土神のナギ。
 でも実はそれは女の子なら誰でもが持つ、おきゃんぴーな少女の顔と同時に生命を育み慈しむ母親の顔の具象化でもあるんですね。
 エンディングでナギを演じる戸松遥嬢が唄う♪愛し、愛し、我が子よ…の歌がまさにそのことを語っていて、じっくり聴いて意味が染み込んでくるほどにじわじわと泣けてくる名曲です。
 特定の生き物の母親ではなく、生きとし生けるものすべての母であり、すべての生命は自然という大いなる存在に生み出され育まれたに限りなく与える慈しみの心。
 寄る年波のせいもあるでしょうが、私はあの歌の心に感銘して泣けてしまうのです。

 原作は現在進行形ではありますが、スタッフがこれまで作ってきた作品群を観る限り、きっと納得の行く形でうまくまとめてくれることを期待しつつ、残り少ない話数を一話一話楽しみにしていきたいと思います。
 
 

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コメント

こんにちは!
大絶賛ですね(^^)
BSでも放送しているため、なんとなく見始めましたが、私もなかなか好印象です。(BSなのでまだ5話くらいだけど)

>あだち充的健康派エロティシズム
これは言い得て妙ですね~~~おっしゃることが良く解ります!!

戸松さんは歌が上手いですね。私もエンディングは名曲と思いますが、OPもEDも戸松さんだと知った時は驚きましたよ。あまりにイメージが違うので。
1クールなのか2クールなのか知りませんが、じっくり見届けたい作品ですねw

投稿: たいむ | 2008.12.03 23:11

うはは。たいむさん、毎度です。
今わたしはコレと『とらドラ!』に癒されてますねえ。正攻法でお話を作る難しさに真っ向から挑む潔さに頭が下がります。

そうですか、5話。6話は戸松さんと沢城さんのかけあいによる“女の子水面下バトル”がたまらんのですよ。お買い物のシーンでは腹がよじれました。しかもふたりともキャピ系からシリアスまでこなせる演技派ですから安心して観てられますわ〜〜〜。

あとは回を追うたびにキャラクターたちのほどよい毒が全体に廻ってきまして、嬉しくて地団駄踏みながら楽しんでます。これ、インターバル作ってもイイからワンクールで終わって欲しくないですよ。

投稿: よろづ屋TOM | 2008.12.04 02:29

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