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2008.08.03

ポニョ、だめでした…orz.......

Gake_ponyo
 いや、私がひねくれているんです。擦れて擦れて、心根が歪んでますのでフツーの見方ができなくなってるんでしょう。
 でも言わせてください。ひっかかることがいっぱいなんです。

  

  
 
 声に関しては以前書きましたので省略。
 アニメーションとしての作り方はもう、これ以上ないというグレード。しかしそれは今更褒める事でもありません。
 けど、クリエーター、作家の生み出すものの評価ってそういうことなのかしら、って思うのです。映像の技術は年々進んでゆき、同じ会社のスタッフが同じ情熱で作っているのなら、たいていの場合は過去と現在を見比べたら今の方が進んでいて当然。

 ひっかかるのは、なにかっつーとマスコミも観客も『ジブリ』『ジブリ』を連発する事。どう見ても宮崎 駿作品であるこの作品を、ブランドとして捉える視点は変でしょう。いや、特定の監督や制作者が知名度として突出していない他のアニメ製作会社ならそれもアリですが、押井作品の場合だれも製作会社の名前では呼ばずに『押井』ブランドとして評価しますよね。

 なのに宮崎氏と並び立つ監督である高畑勲氏もいれば、叩きまくられたとはいえ『ゲド』の吾郎ちゃんもいる、さらに森田宏幸など若手(といっても44歳だけど)も多数いてそれぞれカラーがあるのに、なにかというと「ジブリらしくない」「ジブリならではの」と言い、そう言う場合の『ジブリ』は宮崎 駿作品を指している。
 昔から宮さんのこしらえた、あるいは携わったアニメをずぅうううううううううっと観てきたものとしては、この持って行き方にどうにも憤りを感ぜずにはいられないのです。

 で、ポニョ。

 正直言います。可もなし、不可もなし。よおここまで描いた(描かせた)なあという、動き重視のアニメの一本に過ぎない位置づけに終わりました。
 マスコミの扇動のせいかどうか知りませんが、「手描きアニメでここまでよくやった」と評価してる人が多くおられる。しかしこのひと言はおかしい。今までアニメの何を観てきたのかと言いたいんですよ。

 手塚治虫のジャングル大帝(あのオープニングで泣けない感性の持ち主はアニメーターではない!)やディズニーが生前にやってた事に対してひとつの挑戦…とでもいうならまだしも、これまでにもさんざんこのレベルの作品を生み出してきた人に対しての褒め言葉がコレ?素人が言うならまだしも、映画関係者で勉強不足にもホドがあります。

───というか、それしか褒めるところがなかったのか…とも受け取れる。

 自分には気づかない良さを探して、よその記事を見まくったんですが、3Dにはない良さがあるとか、シンプルだ、さすが宮崎 駿だー、息子とは違う〜って書いてる方が多いんですが…
(;´д`;)私には泣いている作画スタッフの姿が見えるような気がしてなりません。めっちゃ複雑ですよね、これ。ナウシカ、トトロ、もののけ姫どころじゃない。ゲド戦記なんて、止め絵も多いしスクロールも多用してたからポニョほど作画枚数は使ってないはず。

 構図も動きも視点の持って行き方も、「さすが宮さんやな」と思う、複雑この上なしのポニョ。
 わかりません。どこがシンプルなんでしょう。お話?でも深読みすればいくらでも考え込んでしまえますし。宮沢賢治並の難解さです。私には。
 声はもちろんイヤですが、ここまで難しい話だと観ながら「うーんうーん」と悩んでしまったので途中からそんなことは忘れる事ができました。

 それより気になるのは、宮さん…ほんとにこの映画、作りたくて作ったのかしら、ということ。どうにも楽しんで作っていないような気がして仕方がないんです。
 すごくソツなく作ってあって、演技や芸の細かさだけは宮さんらしいんですが…なんでしょう。いつもの、これまでの宮崎 駿という作家としてのエネルギーを感じませんでした。

 ジブリブランドではなく、アニメーターが3kで当然みたいに冷遇されていた時代からえんえんと作り上げてきた、底知れぬ情熱と異様なまでの観察眼と凝り性、無限とも思える知識と経験の抽斗の数。そんな宮崎 駿というバケモノみたいなクリエイターのエネルギー。
 たとえば『トトロ』での雨だれ一粒に対しても意味を持たせ、『魔女の宅急便』での坂道を下るプロペラ自転車などのどうということのないシーンなのに、観ていて「うわああああああ」と叫びたくなるような構図、動き、視点、画面ひとコマひとコマに対する慈しみがほとんど感じられなかったのはどうしてなのか…

───そうだ。──────ああ、そうだ。

 まるでアニメーションの練習のために作ったような作品に見えたんですよ。
 一番驚いたのは日本のスタッフだけで海外外注を使ってなかった事。この二つから考えられる事は、60年に一度の伊勢の遷宮や、伝説の宮大工、故・西岡常一氏が薬師寺西塔という最高の作品を若手と共に造った事で後世にその技術を伝えたことを連想させるのです。

「コイツ、ほんとにひねくれてるな」と思われるでしょうが、もっとも宮さんらしいなと感心したのは実はエンドロール。
 五十音順で声も作画もひっくるめて同等に扱っている。口には出してないけど、やっぱり「どんな有名俳優やタレント声優を起用しても俺にはみんな一緒、序列などない同じ仕事のスタッフだ」と言ってるように思えたんです。
 穿った見方ばかりの私は、ここに裏の意味を見いだしてしまいそうですが、これがこの作品で一番嬉しかった。

 実は宮さんの作るアニメに誰よりも期待しているのは私です。

 すべてに情熱を失いかけているからこそ、圧倒的なエネルギーを浴びたい。こんなのじゃ、ぜんぜん足りませんよ。
  


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◆ブツクサ座CINEMA《ぼやき版》」カテゴリの記事

コメント

自分は、ふんぎりがつかなくて見に行けないんですよね・・・。
理由1:自分の感覚でラピュタを超えてる作品が無い・・・。
理由2:ゲド戦記の悪夢が、はらえない・・・。
ゲド戦記見た時なんでこれだけ技術あるスタッフがいて、この出来何だって思いましたね・・・。
CMとかみているだけで、ポニョの動きの良さはわかりますね。
なんか作品評価よりうりあげがどうとかそういう情報しか入ってこないし・・・。
ま~スタッフがいいし宮崎駿さんなら間違いはないと思うんですけどね・・・。
多分レンタルかTV待ちだろうな・・・・。
現在自分の頭の中はマクロスFが大部分を占めている・・・。

投稿: ポニ萌え | 2008.08.03 19:13

ポニ萌えさん、毎度です。
あれま。ラピュタはともかくも、私はゲド戦記を高く評価していますので、酷評されてる理由も、どこがどう良くないのかも解りません。
同時にポニョのどこが良いかと言われても、どうということもなかったのですよ。
ごめんなさい、マクロスも思い入れはなく、別段好きでも嫌いでもないのです。まあ陰気くさかったオリジナルよりは好きですが。

投稿: よろづ屋TOM | 2008.08.03 21:08

こんばんは、よろづ屋TOMさま♪
高畑さんと言えば我々は知っていても一般の認知度は低い。
ジブリジブリっていうのは、客を入れるための大人の事情がめっちゃあるんでしょうね。
ただジブリ映画なら子供に観せても大丈夫って風潮はどうかと思いますよね。
ジブリ映画というだけで小さい子供を「ゲド」や「もののけ」を連れて行く。
ポニ萌えさんも言ってますが、作品の良さがどうこうという話は一切語られず、観客動員数がすごい、千と千尋を超える…とか、そんな情報しかメディアでは報じないんですよね。
そういう意味では作品として失敗してるんでしょうね。

>まるでアニメーションの練習のために作ったような作品に見えたんですよ。
ひょっとしたらそうかもしれないですね。
ともやも駿さん作品のアニメ(動き)の集大成って感じたんですけど、『これを学べ、そして俺は(今度こそ)引退する』って意思表示なのかもしれないですね。
本当はもっと頑張ってほしいけれど…。

何だか考えもまとめずにいろいろ書いちゃいました。
すみませぬ(ぺこり)。

投稿: ともや | 2008.08.04 00:55

よろづ屋TOMさん、こんにちは。
前々から思ってはいましたが、本当に宮崎監督と作品がお好きなのですね。それゆえに受け止めきれずにいる、といった感じかな?
私も『なにかというと「ジブリらしくない」「ジブリならではの」』には???と思っている一人です。だけど、それは私もそう思っていたからかな?(笑)ところがある日「本当に?」って気がついたんですねー。でも最終的には、いずれにしても自分だけの真実でしかないってことになりまして、それでいいと思ったんです。
8/5のNHK「プロフェッショナル」が「宮崎監督のすべて」になっています。ご本人の口から、練習なのかどうかわかるかも知れませんよ(^^)

生意気でごめんなさいね。

投稿: たいむ | 2008.08.04 08:19

こんにちは。

>どこがシンプルなんでしょう。お話?でも深読みすればいくらでも考え込んでしまえますし。宮沢賢治並の難解さです。私には。

そう。同感です。
この映画、とても子供向けとは思えません。
はっきり言って難しかったです。
ただノラネコさんの言葉を借りるならば、
「芸術は爆発だ!」で
その豊穣なイメージには感服。
でも、リズムは自分には合いませんでした。


投稿: えい | 2008.08.04 13:36

ともやさん、毎度です。
そうですねえ。高畑さんは知られてないといっても過言じゃないです。だけど私がひっかかるのは、マスコミとそれに踊らされた一般ブロガーさんたちがそうしたことを解らないままに『ジブリらしい』『ジブリならでは』と連呼するのが哀しい。
でもそうなってしまったのは鈴木Pの持って行き方の結果というか、“せい”だと思ってますけどね…

投稿: よろづ屋TOM | 2008.08.05 13:01

たいむさん、不愉快な思いをさせてゴメンナサイ。
そうですね、やっぱり今も大好きなんでしょうね。『未来少年コナン』で『カリ城』で『ナウシカ』で、あの人のコンテを見て、設定書を見て、細部へのこだわりと壮大なスケールに心底惚れ、尊敬してました。
逆にジブリ=宮崎 駿という構図がそのまま、宮さんの引退=ジブリの崩壊という事を危惧しているのだと思うのです。
タツノコプロは吉田竜夫さんが亡くなってもタツノコプロでした。虫プロもそう。でもそれはディズニーと同じで、永遠に脱却できないという意味でもある。是非は分かりませんが。
本日のNHKの番組、もちろん見ます。何かを読み取れると嬉しいんですけど。

投稿: よろづ屋TOM | 2008.08.05 13:10

えいさん、こんな陰気な記事でも読んだ上にコメントまでくださってありがとうございます。
そうか…リズムか。たしかにそうかも知れません。すごく入りにくかったんです。
不評といわれた『ハウル』も私には好ましかったし、友人にダメ出しされた『千と千尋』も嫌いじゃないのに、ポニョだけ違和感だらけで、いつもの宮さんの作品と決定的に「何かが違う」と思ってたんです。いや、声だけのせいじゃない。
おっしゃるように全体のリズムが合わなかったんだ…
すこし糸口がつかめた気がします。

投稿: よろづ屋TOM | 2008.08.05 13:18

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