『ライラの冒険』大量殺戮映画だからカシラ?全然好きになれない…

私がファンタジー向きの人間でないのか、夢をなくしてしまってるのか、それとも…?
ファンタジーって、夢や希望のあるおとぎ話的な物語のことだと思ってたんですが、違ってたのかなあ。これ、ほんとにファンタジーなんですか?
『指輪物語』もそうですが、SF戦記物と捉えた方が良かったのかも。
とにかく入り込めません。ココロに滲みません。とにかく現代特撮の粋を集めて作った映像と、一応ファンタジーとして革新の作品ってふれこみ(…まあ所詮はそれも下手くそな宣伝の一環なのかも知れませんが)なんですが、イマイチな出来映えのアニメよりも入り込めない…
あかんでしょう、こんなの子供に見せたら。
で。い〜ろいろ考えてみたんです。なにがこんなに私を拒絶するのか?
この主人公がまず、好きになれない…かわいげがない…なんでもかんでも最初から知ってるみたいな設定だからかもしれません。かの世界的大儲け作品の『はりぽた』もそうだったんですが、どうも最初から選ばれた存在の主人公って設定は苦手ですね。
まあ主人公は死なないという不文律と同じで、主人公が冒険して戦う運命なのは当然なんですが、に作品に共通してるのが、どうも他の人が自分の味方をしてくれることにあまり感謝や執着がないところ。
今回のライラなんて、無垢というよりもただひたすらにワガママで生意気なだけに見えるし。
しかも敵だろうが味方だろうが、自分の周りで人がジャンジャン死んでいってもほとんど気にもとめてませんわね。『ナルニア国物語』なんて、たとえ相手が悪玉とかバケモノだとしても、自分たちでバシバシ殺しまくってたことには、さすが侵略軍事国家の映画、殺人行為にはマヒしてるなと呆れてしまったんですけどね。
でもまだ『ナルニア国物語』の敵は人の姿をしてなかっただけマシかしら。
それともこれって、この映画の脚本が良くないからなんでしょうかねえ。それとも主演の彼女がひたすら小憎たらしいせい?そんな彼女があまりにも簡単に目的地へ行けてしまえるせい?
原作ではちゃんとその辺のカラミが描かれているのか。───まあ、映画として観ている以上、原作の出来はこの際おいとくとして。
どうも映画だ物語だと言う以前に、一種、遊戯施設でゴンドラに乗って周りのアクションやらアトラクションを観ているような作りに思えるんです。つまりこっちにはおかまいなく、勝手にアトラクが自分の仕事を淡々とこなしているだけ、みたいな?
たぶん、あまりにサクサクと話が進んでしまうからかも知れません。私は結構便利な性分でして、たいていの映画はリアルタイムでしか認識しないんですよ。…つまり先を読まずに映画が観られるんです。
なのに、この作品だけはあまりにもミエミエすぎて…。
いや、何度も観た映画のようにミエミエでもプロセスを楽しめる筈なんですが、どうもこの作品はそういった魅力がないようで…
いや、子供向けだから単純明快これでいい、なんて考えはやめてくださいよ。子供向けだからこそキチンとしなければならない事ってあるはずなんです。
悪いヤツばったばったの勧善懲悪も結構ですが、殺さずに改心させる手段を必死で講じるとか、たとえやむなく敵を殺しまくったとしても、そのことにちゃんと悩んで何か学んでほしいんですよね。
無差別ダダ殺しのスウィニートッドでさえ“復讐は何も生み出さない”ことを一応は唱ってますよね。
これで三部作として、目的が冒頭に語られる『平行世界』へのバイバスの発見とその利用とかだとしたら、主人公たちが取り返しのつかない罪を背負っている『鋼の錬金術師』のほうがよほど素晴らしい作品といえるんですが…
とにかく、映画としてのファンタジーがかなり不毛な時代な事には間違いないです。これではまるでスターウォーズだわ。
ふむ、なるほど、と思われたら▼▼ブチブチッとクリックお願いします。

| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『ライラの冒険』大量殺戮映画だからカシラ?全然好きになれない…:
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 [★YUKAの気ままな有閑日記★]
かなり前から予告がガンガン流れていたので楽しみにしていたちょっと評判がイマイチかな?って感じだけど、、、子どもと吹替え版で鑑賞―【story】“オックスフォード”の寄宿生である12歳のライラ・ベラクア(ダコタ・ブルー・リチャーズ)は、一心同体の守護精霊“ダイモン”という動物といつも行動をともにしていた。そんな不思議な世界で、謎の組織に子どもたちが誘拐される事件が続発、親友を誘拐されたライラは自ら捜索に乗り出す― 〜フィリップ・プルマンの児童文学を完全映画化したファンタジー・アドベンチャー〜 ... [続きを読む]
受信: 2008.02.24 23:32
» ★「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 [ひらりん的映画ブログ]
久しぶりに試写会に当たったので、
「日本教育会館一ツ橋ホール」まで観に行ってきました。
それにしてもこの作品・・・やたらと試写会を連発してるような・・・。
そんなにタダで見せなくても、ヒットしそうだけど・・・。... [続きを読む]
受信: 2008.02.24 23:39
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 [そーれりぽーと]
ニュー・ライン・シネマが、大ヒットシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに続いて、児童文学の人気作(つーても俺は知りませんが)『ライラの冒険』シリーズを、また三部作構成映画化。
やたらと力の入った劇場予告編をずいぶん前から観てたので、ちょっと期待もしながら第一章『ライラの冒険 黄金の羅針盤』を観てきました。
★★★
始まる前に、第二章と第三章の展開についてイチイチ説明しなければ、次回作に期待も何も感じない、つまらない第一章でした。
二コール・キッドマンが圧倒的に美しい、ただそれだけの映画だっ... [続きを読む]
受信: 2008.02.25 00:45
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 [eclipse的な独り言]
映画好きの方も、当ブログの「80年代ロック・アルバム・ベスト・セレクション」に [続きを読む]
受信: 2008.02.25 12:10
» 「ライラの冒険 黄金の羅針盤(先行)」みた。 [たいむのひとりごと]
時間的にはそろそろと思いつつも、「えー?ここでお終い?」と言いたくなるラスト。原作は3部作であり、1部・2部・3部がそれぞれどんな内容なのかが冒頭で説明される。映画の続編が確定とは聞いていないけれど、... [続きを読む]
受信: 2008.02.25 20:16
» ライラの冒険 黄金の羅針盤−(映画:2008年19本目)− [デコ親父はいつも減量中]
監督:クリス・ワイツ
出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン、サム・エリオット、エヴァ・グリーン、ダニエル・クレイグ
評価:68点
公式サイト
だからいったい何が起きてるのか、それでは全くわからない・・・。
イギリスではかなり有名....... [続きを読む]
受信: 2008.02.25 21:52
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 [アートの片隅で]
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の試写会に行って来ました。
最近、映画の公開に合わせて来日&イベントを行う海外の俳優が増えていますが、ニュース的にもマンネリ気味、、、、
しかし今回のニコール・キッドマンは、かなり扱いが大きかったかなぁと感じました。
恵比寿でレッドカーペットなどもしていましたが、残念ながらハズレてしまったので、同じ日でしたが別の場所(中野サンプラザ)にて、鑑賞して来ました。... [続きを読む]
受信: 2008.02.26 12:34
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 [ネタバレ映画館]
嘘つきは誰だ? [続きを読む]
受信: 2008.02.26 14:56
» ライラの冒険 黄金の羅針盤・・・・・評価額1400円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
フィリップ・プルマンのベストセラーファンタジー小説、「ライラの冒険」シリーズの映画化第一弾。
主人公のライラを演じるのは新人のダコダ... [続きを読む]
受信: 2008.02.26 23:45
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 [わたしの見た(モノ)]
製作が「ロード・オブ・ザ・リング」と同じニューラインシネマということで、
両者を比較してしまうが、
最も良かった点は、上映時間が2時間以内だったこと。
最近のファンタジー、大作は長すぎる。
2時間前後が私には丁度良い。
三部作の一作目。
単体では評価しにくいで... [続きを読む]
受信: 2008.02.27 21:31
» ライラの冒険 黄金の羅針盤(2007年、アメリカ) [泉獺のどうでも映画批評]
この映画は、ギャオ株主優待の試写会で観ました。 2月5日のC.C.レモンホール [続きを読む]
受信: 2008.02.28 10:11
» 「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 [クマの巣]
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」観ました。
原作ファンか、ファンタジー大好き、もしくはクリーチャー好きな人以外は観ない方がいいです。
特異な設定が盛りだくさんなのに、説明がほとんどありません。ですからノレ... [続きを読む]
受信: 2008.03.01 16:56
» 映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」(2007年、米) [富久亭日乗]
★★★☆☆ イギリスの冒険ファンタジーの映画化。 原題は「The Golden Compass 」。 われわれの住む世界とは少しだけ違うパラレルワールド。 その世界の最大の特徴は、 人間に1匹ずつ「Daemon」と呼ばれる分身 動物の形で寄り添っていること。 オックスフォードの学生寮に住む12歳の少女 Lyra Belacqua (Dakota Blue Richards)は、 謎の組織に誘拐された親友らを探しに、 Marisa Coulter (Nicole Kidman)と 北極... [続きを読む]
受信: 2008.03.03 07:28
» 映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」 [FREE TIME]
3月1日のファーストデーで映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を鑑賞しました。 [続きを読む]
受信: 2008.03.03 23:59
» 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』 [cinema!cinema!〜ミーハー映画・DVDレビュー]
仕事が早番で夕方にはあがれたので、今日は1本は映画観てやると思ってたんですけど、何を観ようかですごく悩んでしまって。本当であれば、『アメリカン・ギャングスター』のリベンジをしようかなーとも思ったものの、都合のいい上映時間がないので断念。ということで、前...... [続きを読む]
受信: 2008.03.06 12:04
» 「ライラの冒険 黄金の羅針盤」試写会にて [ノルウェー暮らし・イン・ジャパン]
ラブロマンスの次にファンタジーと相性の合わない私。
洋服ダンスを開けて冒険の旅に出るお馴染みの映画では、何度観ても箪笥を開けた次のシーンでは、箪笥から帰ってくるシーンになっているのだ。
(どんな冒険がくりひろげられていたのか?いまだに分からん・・・)
しかし、これは違う!
ファンタジーでありながら、サスペンスでもあり、謎めいたかんじで、とても寝ていられない!... [続きを読む]
受信: 2008.03.07 00:00
» 【劇場映画】 ライラの冒険 黄金の羅針盤 [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫
我々の暮らす世界とは似て非なる平行世界のイギリス・オックスフォード。ジョーダン学寮で育てられた孤児のライラは、ダイモンのパンタライモンや親友ロジャーらと共に、騒がしい日々を送っていた。しかし街では次々と子どもが連れ去られる事件が発生し、親友ロジャーも姿を消してしまう。そしてライラ自身もコールター夫人に連れられジョーダン学寮から旅立つことに。旅立ちの日、彼女は学寮長から黄金色の真理計を手渡され……。(goo映画より)
原作が大好きなので、とても期待していた映画でした。
配役の... [続きを読む]
受信: 2008.03.09 22:48
» 『ライラの冒険/黄金の羅針盤』(2007) [【徒然なるままに・・・】]
フィリップ・プルマンの<ライラの冒険>三部作の第一作、『黄金の羅針盤』を映画化したものです。日本での公開は来週3/1からなのですが、待ちきれなかったので一足お先に先行特別上映で観てきました。
映画化に際しては過大な期待をしてはいけないことは百も承知だったのですが、少しずつ公開されるビジュアル・イメージに圧倒され、ついついしてはいけない期待なんぞをしてしまっていたのですが、この作品に関しては杞憂に終わりました。
おそらく原作小説を読んでからこの映画を観た人で、「想像していたのとは全くイメージが... [続きを読む]
受信: 2008.03.22 08:42
» ライラの冒険 黄金の羅針盤 (2007年、米) [七月のうさぎ]
原題: The Golden Compass
監督: クリス・ワイツ
原作: フィリップ・プルマン
『黄金の羅針盤』(新潮社)
出演: ニコール・キッドマン
ダコタ・ブルー・リチャーズ
サム・エリオット
ダニエル・クレイグ
エヴァ・グリーン
クリストファー・リー
トム・コートネイ
デレク・ジャコビ
ベン・ウォーカー
サイモン・マクバーニー
ジム・... [続きを読む]
受信: 2008.03.29 14:14
コメント
利害関係のない戦争している国に第三者が勝手に参戦するような「ナルニア」よりはマシだと思いました。「ライラ」では自分の仲間を含む子供たちを助けるという大義名分があったし、自分の命さえ危ない状況もありましたから・・・
とにかく、子供向けファンタジーに戦争を持ち込むのは良くないですよね~
投稿: kossy | 2008.02.26 15:05
kossyさん、アンチ記事なのにトラバ返しどころかコメントまで戴いてありがとうございます。
なるほど、たしかにナルニアは傭兵とか聖戦士的な扱いでしたね。でもナルニアでも弟君がやられかけたりもしたから一応命を張ったことにはなるのでしょう。
しかし平和ボケだバカだといわれようが、ファンタジーだからこそ『今日からマのつく自由業』シリーズみたいに、意地でも敵と理解し合おうという姿勢の方を尊しとしたいです。
学校で銃をぶっ放され、帰り道で知らないヤツに刺し殺される現実世界、せめて空想の世界くらいは生命の尊さを考えて欲しいですから。
投稿: よろづ屋TOM | 2008.02.26 15:19
TOMさん、こんばんわー。
おぉ、滅多切り!?
私はライラ自身は嫌いじゃないんですよね。原作では。
でも映画を観てたら、お前のせいだろーとか色々思いました。
多分思わずにはいられなかったんだと思います。
あまりにも「進めなきゃ~、時間内に収めなきゃ~」って観客無視状態に、どうなのよー?って。
それが色々連なって、この映画どうなのよー??ってなりました。
「鋼錬」の方が素晴らしい・・・3巻まで読んで止めちゃったのは失敗でしょうか?
投稿: ななな | 2008.03.04 20:08
うーん、私の“文句たれ”の基準では、オトナの事情かなんか知りませんが、せっかく多額の予算、優秀なスタッフを獲得しておきながら実力を発揮しないままで宣伝などでうわべだけを飾り立てたような作品がいっちゃんダメダメな作品なんですよ。
つまり、こーゆー作品ですね。
ハガレン、私もアニメ版しか知らないんですよ。でもアレの世界観はすごいです。
レンタルでもなんでも、絶対ご覧になるべきですよ。
投稿: よろづ屋TOM | 2008.03.07 01:01
いや、自分の場合、まず白熊がメインで戦ってるという「絵」だけで相当引いてたりするんですが、これって致命的ですかね?アニメだったら動物の擬人化もOKなんだけど、実写になると何故かダメなタイプなもので・・・。
原作がめっさ評判宜しいみたいなので、とりあえず原作から入ってみよっかなーと思っていたのですが、原作読んじゃったら映画見る意味無いとも言えるかな?(^^;
投稿: 小夏 | 2008.03.11 10:23
小夏さん、毎度〜。お越しはお久しぶりですよね!
こんなん映画ぢゃねぇ!
実はなんとなくこの手合いの記事には来てくださりそうな気がしてましたわん。
私は原作は皆目知らないのであくまで映画に対してだけの記事です。
それで言うなら
…ってか、作家が「こんなん思いついてん。荒削りやけど、どお?」って見せる初稿の段階。
≫白熊がメインで戦ってるという「絵」だけで相当引いて
まあ私もネズミが二本脚で歩くアニメが嫌いなので仰ることは良く解ります。でももしちゃんと動物の骨格や生物解剖学的な発声・発音を踏まえて描いてくれたら納得しても良いんですけどね。
逆に言えば『亡国のイージス』みたいに映画が小説の予告編(またはプロモビデオ)だと思えば見れないこともないかも。でも私には¥1800の価値はないと思います。
私も昔は『グインサーガ』とかにハマったクチなんですけどねえ、最近は全然文庫本とか読みませんわ…高いから。
投稿: よろづ屋TOM | 2008.03.11 13:06
映画はスルーしようと思ってたけど、やっぱり見てきましたわ~。
動物の擬人化、思ってたよりはすんなり受け入れることができました。
イオニクの吹き替えが大好きなイアン・マッケラン卿だったおかげかも。(笑)
で、肝心の内容ですが、ちょっとあっさりしすぎじゃないですかね?
原作未読者にはまるで意味不明の部分が多すぎだし、「これは後でわかることなんだよー」って言われても、やっぱりシリーズ物としてある程度その作品の中で完結して欲しいかな、と。
アスリエル卿なんて結局本作で何してたのかさっぱりわかりませんでしたもん。
とはいえ、続編はちゃんと作って貰いたいものです。続編の製作に暗雲立ち込めているなんて物騒な噂も耳にするのですが、やっぱりそれはもったいないと思うしね。
投稿: 小夏 | 2008.03.29 13:28
小夏さん、ごっくろーさんです&お疲れ様でした。
先週放映していたBS2の『石ノ森正太郎特集』で思ったのは、日本のすぐれたマンガは読者に考えさせてくれる疑問とテーマをくれること、というのがあって、なるほどそういう意味では昨今のこの手の映画にはそれが全くないんですね。
そしてすぐれた物語のキャラクターには、描かれていなくても過去ありきで今がある。だから彼らも主人公たり得る。
続編というより、これはおじゃんにして、数年後に別のスタッフでちゃんと作り直せと言いたいですけどね。このままではどーっちみちハンパですから。
投稿: よろづ屋TOM | 2008.03.30 17:32