『大帝の剣』あら?あっらっらっら〜〜?不人気!?
昔から阿部寛君が好きなので公開前から気になっていたんですが、やっとこさ観ることができました。…うん、まあ、こんなもんでしょ。みなさん、何を期待してたんですか。
でもホンマに不評ですねえ。たしかに共演の長谷川京子だの宮藤官九郎は元々ひどい大根役者ですが、話のアイデアは悪くないと思うんです。
江戸時代だろうが戦国時代だろうが、巨大宇宙船で宇宙人が来襲してもなんら不思議でないし、エイリアンが居るなら妖怪も居るでしょう。そーゆーところにボーダーラインなんて引くだけナンセンスちうもんですからね。
わたしら『赤影』で育った世代にしてみれば、気合い一発で空を飛んだり、忍者ものなのに巨大な怪獣やら動く石像、はてはリベットだらけのオカマ型飛行要塞が登場してもまったく違和感なく楽しめるのです。
そもそも阿部寛君、メンズノンノのモデル出身の彼が長身でハンサムゆえに俳優としての仕事にワクを架せられてしまっていたときに脱却の糸口になったのはNHKの異色時代劇『天晴れ夜十郎(やじゅうろう)』だと思うのですよ。
未だにDVDもなく、再放送もないので細かいことは忘れましたが、現代の若者がタイムスリップで江戸時代に跳んで、政治的に悪い奴ら相手に大暴れすることになる…みたいな話だった記憶があります。
今回彼が演じた源九郎(みなもとのくろう、ではなく、げんくろう。名字は万と書いて“よろず”。)は夜十郎と違ってかなり小汚いですが、持っている豪快な雰囲気は似ているように思いました。
で、ですねえ。
この作品の惜しい、「あら?あっらっらっら〜〜?」なところは何といっても練り不足、遊び不足。もちろん随所に遊ぼうとした痕跡はあるんです。大蔵康二君が演じる“手妻の藤次”はもろにギャグキャラですし、全編に流れる江守徹氏のナレーションは講談調で水を得た役どころ。
堤幸彦監督がどれほど私などと同じものを観てきたかは判りませんが、六平直政氏演じる“黒虫”を見れば『赤影』や『ワタリ』、『サスケ』や『隠密剣士』を観て育ったことはまず、間違いないのです。
でも何もかもが中途半端で活かしきれてないんですね。原作は知りません。あくまで映画だけを観て思うことです。
まずお姫様。ただの町娘ですよ、あれは。どこの世界にあんなに簡単に他人、ましてオトコを近づけ口をきく姫がいるもんですか。(レイア姫みたいで最低の無品)もっと身分差を勉強して欲しいものです。黒木メイサのほうがよほど気品がありました。まあ、無表情なのでかえってお姫様らしくていいのでは?
けっこう肝心な役どころの筈の宮藤官九郎がまたヒドイ。浮いてますねえ。まあ、彼の監督作品も私の好みではないので、役者としても予想通りだったんですが。
敵方もそうなんですが、要するにキャラが薄っぺらい。目的がアヤフヤなのはともかくも、もっとみんな必死に生きろよといいたくなる浮揚感が漂ってるのがそのまま画面の緊張感のなさに繋がってる。
必死なヤツ、ギリギリな奴らだらけの中でたったひとり、源九郎だけが飄々とテキトーに生きてる…という対比があれば、もっと物語が引き締まったでしょうねえ。
その源九郎も裸になれば生傷だらけで、やっぱり生身の人間だったと判らせて欲しいし。
昨今の映画の広告と同じで、作品を愛してないのか、愛し方が全然足りないか…ってことなんでしょうね。
このネタこそ今はやりのリメイクで完成度を高めた傑作にしてほしいですねえ。
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コメント
そうですか、、、
世間の評判、悪いのね、、、
あたしは大好きです!!
阿部ちゃん、今後たぶん、恰幅良くなってくると思うし、そしたらさらに、かっこよくなると思う。
今はまだ、細すぎ、、、
投稿: 猫姫少佐現品限り | 2007.10.20 15:09
姫少佐、毎度!
いやいや、嫌いじゃないです。嫌いだったらここには書きませんdeath。
惜しい!惜しいんです。もっと熱意を込めて、もっと特撮や荒唐無稽な話を愛するスタッフならきっと数倍面白くて、輸出してもヒットするだけの作品になりうる内容なんです。だから、もったいない。
うん、阿部ちゃんはまだまだ楽しみな俳優です。これからも彼が出るというだけで観る作品があることでしょう。
投稿: よろづ屋TOM | 2007.10.20 16:33
超男前でモデルしてたくらいにカッコイイのに、どっか滑稽で笑えるキャラ
・・・っていうのが私のアベちゃん像なんです(^^)
そのギャグキャラのアベちゃんを「おおおぉぉぉ~~~」
と思ってしまったのが
ちょっと前のNHK大河の平知盛役をやったアベちゃんなんですよ。
でも、そのマジで素敵なアベちゃんに、内心がっかりしたような。。。(^^;)
投稿: ビタミン店長 | 2007.10.20 23:52
店長さん、毎度です。
阿部ちゃんの印象は私も同じですねえ。そうそう、知盛!カッコ良かった〜!てか、あの番組を観続けたひとつの理由が彼だったんですよ。
でも店長さんはがっかりしたんですか?
私はもっともっと悪役をやって欲しいんですよね。殺したくなるくらいニクイ役を。がんばれ、阿部ちゃん!
投稿: よろづ屋TOM | 2007.10.21 23:41
突然で申しわけありません。現在2007年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票にご参加いただくようよろしくお願いいたします。なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2007.12.21 22:20