六月の花。
ちなみにこれは“美方八重(みかたやえ)”という品種で、ヤマアジサイという紫陽花でも原種の自然交配種。その名の通り、美方五湖で知られる福井県の美方で見つかったものだそうです。
蒼い色がなんとも美しいでしょ。私は紫陽花ではもっぱら青が好きなんですが、この子の青さは群を抜いて美しいのです。しかも星ひとつの大きさは2センチほど、つまり全体でもオトナの手のひらにはいるくらいの大きさなんですね。
フツーの園芸店や庭先で見られる、ポンポンみたいにデカい紫陽花は、あのオランダ人医師のシーボルトがこうした日本の原種をこっそりと故国に持ち帰った後に品種改良して生まれた、いわば逆輸入版。
学名をハイドランジア・オタクサっつーんですが、この“オタクサ”ってのがシーボルトの日本での奥さんだったお滝さんの名をもらったものだとか。
んでもってよくオウムとか九官鳥には「おたーけさん♪」ってスタンダードの台詞がありますが、あれもシーボルトがお滝さんを呼ぶのを覚えたオウムだか九官鳥だかの言葉が最初なんだそうな。
ちなみにヤマアジサイ、色も大きさも様々で西洋アジサイにはない渋みと詫び寂びが最近ひそかなブームなんだそうです。
ちょっと凝った園芸店でならこれからの季節は見かけることがあるでしょうから。見つけたら話しかけてやってください。
見た目は山野草ちっくでか弱いですが、純日本産だけにけっして栽培は難しくないのでチャレンジしてみては?
さてこちらも初夏の花、クチナシ。とにかく強く甘酸っぱい香りは姿が見えなくても存在感たっぷりです。
クチナシといえば思い出すのは栗きんとん…じゃなくて、映画『旅情(原題:Summer Time)』。キャサリン・ヘプバーン演じるオールドミスの、ひと夏の許されざる、けれども純情な恋の物語。
そのラストシーンの小物として登場するのがクチナシのコサージュ。
でもクチナシって、肉厚で傷つきやすく、じきに黄色くなって傷んでしまうのが哀しい花です。押し花にもドライフラワーにもしにくそうだし…
でも蒸し暑く暗い夜、公園などを通りがかった時にむせかえるような香りをふりまきつつ、ぼお〜〜っと白く光ってて怪しげなのもクチナシですよね。
あ〜。もう嫌な虫もワラワラ出てきて…花には逢いたいけど、完全防備でないと同時に咬まれまくるんですよね。
(;´д`;)これから初冬までが苦手な季節です。
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コメント
あじさいって、そこの土壌のPhで、色が違うんでしょ?
投稿: 猫姫少佐現品限り | 2007.06.02 17:15
姫少佐、毎度です。
ぺーはーね。でも一応、中性の土で育てた場合、青花はもとから青いし、ピンクのはピンクの花が咲きますね。
とはいえ、買ったとき青かったのが石灰(土をアルカリ性にする)を与えたために、かなりピンクに傾いたことはあります。びっくりしましたよ〜〜〜
投稿: よろづ屋TOM | 2007.06.03 01:29
ホントにステキな色彩のあじさいですネ~。
それに、可憐でカワイイ花弁。
それにしても、ホント、お花について詳しいですネ。
すごく勉強になります。
あのあじさいが、シーボルトによって逆輸入されてたなんて知らなかったデス。それに「おたーけさん♪」がシーボルトつながりとは!
投稿: ねこでこ | 2007.06.07 10:10
≫それに、可憐でカワイイ花弁。
でっっっしょ〜〜〜〜〜〜。昨年の今頃、梅田の百貨店で一目惚れでした。
しかし蘭といい、薔薇やパンジーといい、花の原種はみな小さいのに、改良を重ねていまあるような派手でデカい花にしてしまうヨーロッパの園芸技術は化け物です。
投稿: よろづ屋TOM | 2007.06.09 13:38