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2007.02.23

のこる、仕事。

Bizenyaki


 別段、骨董品や焼き物に興味があるわけでも、詳しいわけでもありません。
 だけど、料理のお好きな方が器に凝るように、酒飲みはやはり酒器が気になるものなのでしょうか。

 私の場合は所詮、ぐい呑み程度しか手に入れる事ってないし、どこの産地の土が何焼きなのかも知りません。ただ、旅行に行ったり、フリーマーケットみたいな所で、ごくたま〜〜に一目惚れしてしまう器ってあります。

 今回載せているのは、徳利は備前焼。
 もう随分昔に岡山〜倉敷へ旅行したとき、かの美観地区の中にあるお店で見つけて、はて、いくらだったか…たしかせいぜい同じ土、同じ工芸家の方が焼いたぐい呑みふたつとセットで¥5,000くらいだったかしら。
 その後も徳利はふたつ・みつくらい買いましたが、やはりこれが一番のお気に入り。
 携帯電話の安物デジカメなので色はもちろん、形すらもちゃんと写ってませんが、長年使ってきてお酒が染みこみ、なんともいえないツヤを持っています。

 一方、一緒に写っているぐい飲みは、これまた昔。私が専門学学生だった頃に京都は嵐山の楽焼きの店で絵を描いて焼いて貰った、それこそ安物。
 ───なんですが、なにを思ったか、器の中に闇夜の群雲から顔を出す満月を描いたんですね。外側には色を入れずに『酒湖呑月』と下手くそな字。
 もちろん、その時思いついたテキトーな造語です。

 ところが記念品的土産物としての焼き物ですから、お店の人が掛けてくれた上薬もそこそこにしか施してなかったんでしょうね。こっちは使えば使うほど、どこかの隙間からお酒が滲みてきて、25年ほどたった今、素焼きの素材がだんだん黒っぽくなってきて。
 で、昨年ふと思い立って、それまでは黄色かっただけの月の部分に金箔を貼り込んでみたんです。それがこれ。光を反射するようになったんですが、これに酒を入れると池に映ったようにも見え、無茶苦茶ながらも妙に味わいのある器になってくれました。

 この徳利、とにかく曲線が気に入ってまして、そっと持つと、作家が両手で包むようにしてこしらえられたことがよく判ります。
 私がこよなく愛するこの器、誰が作ったのか知るよしもありません。そしてそのさらに元はどこかの山の土。さらにその前は岩だったのかも。
 とっても、とっても不思議です。
 そして、私が死んで、もしもまだこの器が残って、また誰かが気に入ってくれて引き継いでくれたら、その不思議はまた何年、何十年か続いていって、その誰かはまた両手で包むように持って、その暖かな肌触りになごんでくれるのかしら…なんて、焼き物に触れる度に思うのです。

 名も知らないし、由来も判らない。でも、こんな風に残る仕事をしている人って羨ましいな、って思うこの頃です。

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◆酒なくて なんの人生 ほにゃ、ららら。」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。ねこでこサンのところから飛んで参りました。
楽しい文章書かれてますねー。私も一応俳人(金にはなりませんが)なので、こういうブログは大好きです。お気に入りに登録させていただきましたので、これから楽しみに読ませていただきますね。
※ちなみにワタクシも3月生まれの魚座・バツイチでございます。

投稿: hisohiso | 2007.02.24 02:01

hisohiroさん、いらっしゃいませ!おお、ねこでこさんの所から。それはそれは!
俳句とは粋ですね〜〜〜〜。(ノ´∀`*)
私は人間がクドイのでダラダラした文章しか書けなくて、仕事で短いキャッチとか考えるときは脂汗流してます。しかも同じ三月生まれで…。そーですか。
hisohiroさんのブログも、ちらとお邪魔させていただきましたが、なんと落ち着きのあるブログ。なんか掃き清められた座敷のようなイメージですね。やはり俳人ならではの文章が成せる空気感なんですね。

( ̄ロ ̄lll) 私のは雑然ごみごみですからねええええええ〜〜〜〜。オッサンやもめならでは?
まあ、こんな読み疲れるブログですがボチボチやってますので、ツッコミ等ございましたらぜひまたコメント下さいませ。
これからもよろしくお願いします!

投稿: よろづ屋TOM | 2007.02.24 15:29

そういえば、倉敷の美観地区には焼き物のお店があってような・・・

私も焼き物、陶器、好きなんですよ。
・・・・の割には
うちの食器はひび割れやどこか欠けてるのばかりなんです・・・^^;
家事一般が苦手なので、どっか扱いがおざなりというか、荒っぽいんでしょうねぇ
なので、今は100均の食器で充分です。
いつかのんびりと焼き物を愛でながら花見酒や月見酒♪
できたら良いなぁ~~~♪

投稿: ビタミン店長 | 2007.02.27 22:55

店長さん、毎度です!
うちももちろん、欠けさせてしまった瀬戸物、それもお気に入りの盃もあります。
ですが!ここに素晴らしい知恵があるのです。模型用のパテをご存じですか?私が愛用しているのは、タミヤという大手模型メーカーが出している、『エポキシパテ』というもので、白い凝固剤とブルーのパテ本体を粘土よろしく練り混ぜると、12〜24時間で石のように固まるというシロモノで、パッと見はチューインガム状になっているのでハサミで切って分量を調整でき、保管も管理も使うのもものすごく簡単。
で、練り合わせた直後はネットリとしているんで、これに何回か回数を分けて金箔を載せるのです。
といっても上等な四角い金箔ではなく、お正月のお酒とか食べ物にちらっと載せているアレでいいんです。(パテも金箔のかけらも東急ハンズなどで売ってます)
それを、納得行くまで何度も何度も重ねてゆき、パテが固まった数日後にまた金箔を載せては指でコシコシとなでてやると、金の分子がパテに馴染んで、まるで金漆で継いだものみたいに仕上がります。
もちろん、熱湯を入れたりする程度なら問題ありません。ただし、電子レンジは金箔を使うのでそこだけ以上に加熱されて、パテがダメになることもありますのでご注意を。

案外、元のよりもお気に入りになったりしますので、手慰みに一度ダメモトで欠けたけど捨てていない安物にでも試してみてください。
意外に簡単にカッコいいものができるので、ヒビの入ったものや欠けた食器を探すようになりますよ。

焼き物も、花見も、別段高級でも高尚な趣味でもないですよ。気楽に楽しんでこそ。
かの千利休も今で言う100均レベルのやきものの中に風情や詫び寂びを感じてたわけですからね。要はたのしもうとする心っつーことで。

投稿: よろづ屋TOM | 2007.02.28 01:17

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