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2006.12.11

NHK大河『功名ヶ辻』は無茶苦茶やった…

 ゆうべ、2006年度のNHK大河『功名ヶ辻』が終わったんですが。

 ひどかった。(;´д`;)

 いや、ドラマとしてはあんなものなのかも知れませんよ。
 でも他で松平アナウンサーの『歴史シリーズ』を抱えているNHKが、あそこまでテキトーな歴史観のでたらめな脚色をしていいものなんでしょうか。
 いやいや、百歩譲って民放の娯楽時代劇みたいなものだと諦めても、それなら司馬先生の作品を原作として名を借りるなんて言語道断、よくぞこれだけねじ曲げて描いたなあという脚本には本当に驚かされました。

 俳優陣キャスティングはまあともかくも、そもそもなんであんなに下手な脚色し続けてたんでしょうかねえ。上からの命令なんでしょうか?それとも事務所?
 それでも一年、とりあえずちゃんと観たのですが…

 そもそも軍隊で言えば地方部隊の、しかも長い間下級佐官クラスの身分しかなかった一豊が主人公だったからこそ、上官の能力次第で生々流転と歴史に翻弄され、無能なのになぜ大名にまでなったか、が見どころだったんです。
 なのにまあ、歴史のターニングポイントでめちゃめちゃ活躍するわ、下級将校のくせに秀吉や家康たちの軍議で並み居る旗本と同席していたり(同席しても座敷から遠くの土の上)。そもそも原作によれば大名になるまで彼は軍議に参加さえさせて貰ってないんですな。戦術士官としては優秀だったけど作戦立案や戦略面では凡庸だったようですし。

 まあ、ドラマである以上、歴史に忠実に描く必要性というのはそれほどないのかも知れません。でも、これまで一般に知られてきたエピソードが実はこうだった(赤穂浪士の討ち入りに実は太鼓など鳴らさなかった、千代が一豊に馬を買う代金を渡した話はどうも嘘くさい…みたいなこと)というのならばともかく、今年の大河ドラマはその真逆の「そんなアホな」ことがすごく多かったのには驚き呆れると共にかなりガッカリしたんですよね。

 司馬先生は歴史小説の短編ひとつ書くにも、徹底的な古文書の発掘に始まって必ず現地へ行ってご自身の足で歩きまわり、その土地や地史を研究している人なら学者でも素人でも取材し、子孫の方や土地の古老の話にも事細かに耳を傾けてから初めて言葉を紡ぎ、文章を織りはじめる方でした。

 それまで日本史の常識のように幅をきかせていた合戦や歴史的な人物像が、実は江戸から明治大正期を経て講談師などによっていつしか派手で大げさでしかもかなり適当に脚色されて伝わっていたのを、実地検証を旨とした司馬作品の数々によってようやくリアルな戦略戦術シミュレーションや政治上の裏取引、人間関係の生々しいカラミが浮き彫りにされていったんですね。

 ところが今年の『功名ヶ辻』は、そこらへんが先祖返りしてしまって、ほとんどテキトーになってしまっていて、おかげで出てくる人物像のなんと希薄で軽薄なことか。
 当時の常識に照らしてもデタラメだらけで、原作で事細かに描かれた当時の生活感やモラルといった、歴史劇を現代人にも身近なものとして捉えさせるために不可欠なものがみな省かれ、中途半端に現代のそれと置き換えられてしまっていたり。
 日々を生きることの大変さと緊張感がない。だから生命の尊さが全然伝わってこない。

 まず一豊と千代が無茶苦茶。前半、ありえない現代っぽさでの仲むつまじいのはドラマ演出上まあ許すとして、確かにおちゃめな人だったようですが、そこを勘違いして単なる小賢しいドジっ娘として描いている。
 ホンモノの千代さんのすごさは、ぼくとつな一豊の顔を立てつつ、絶対に表立っては出てこなかった所が『良妻』であり、逆に言えば陰に回って馬鹿正直な旦那をうまく操縦していたからこそ、『賢母』なんですね。まず肝心のそのところが全然描けていない。原作をちゃんと読んでないんでしょうね。

 そんな何事でも必ず千代さんに意見を訊くほど全面的に信頼していた一豊が、土佐の大名になってからは人が変わったように彼女の忠告を聞かなくなる。どころか、遠ざけてゆくんですね。
 二人の間の信頼関係は変わらないのに、身分が高くなった分、間にいろいろな人が介入してしまうことで二人のコミュニケーションも絶たれてしまうんです。
 そんな中でやがて土佐はどんどん血なまぐさいことになってゆく。貧乏時代から必死に築き上げた結果が無惨な事になってしまう悲劇でもあるんですよ。

 (;´д`;)主演の仲間由紀恵ちゃん、上川隆也くんが筆者の好きな俳優だけに、よけいに出来の悪い脚本が辛かった…
 ほかにも北の政所・ねねや秀吉、家康もよくぞこれだけ安っぽく描けたと感心するほどひどかったですね。まるで小学生の歴史図鑑程度の解釈度。
 大きな歴史のうねりを象徴するほどの人物たちが、生死を賭けた局面でごくたまに見せる人間くささが彼らの人間らしさや個性を際だたせているわけですが、このドラマではそんな部分ばかりが笑いのスポットとして強調されていた為に、あり得ないくらい薄っぺらで安っぽい人物にしか見えないんですね。
 こんな軽薄で浅はかな連中が150年もの戦国を終わらせられるワケがない。
 まあ、昨今のダニのカスみたいな政治屋ばかり観ていたら、ひょっとして昔の政治家もこんな程度かと思えても仕方ないかも知れないんですが…
 あれでは汚職知事、いや談合市長程度の人間でしかない。いくらなんでもひどすぎました。ほんとに役者さんたちが可哀想でした。

 さて来年は実力派・内野聖陽(うちのまさあき)くんが演じる風林火山ですが。
 ぶっちゃけた話、映画版よりも彼が演じた『蝉しぐれ』の方がダントツ良かっただけに期待してしまいます。頼むからヘンな脚色だけはやめてくれるようにお願いしたいもんです。

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コメント

年々、大河ドラマが「大河」じゃなくなってる~(>_<)
功名ヶ辻 司馬先生原作ってことで私も最初は期待してたんですけどね・・・・^^;
司馬先生が、明智光秀や石田光成などの「敵役」を、実はかなり評価していらっしゃるのかしら?というのはしっかり伝わりました。

でも、関ヶ原の回で超お気に入りの武将の大谷吉継の影も形も無かったのには思わず暴れそうになりました。
大谷吉継無しでどうやって関が原をドラマにするのよ?!ってくらいに重要人物なはずですけど。
仕方無いですね^^;

来年の風林火山 ガクトが出るらしいですけど、何の役なんでしょう?
まさか上杉謙信とか?(@_@)

投稿: ビタミン店長 | 2006.12.11 23:26

毎度です。
店長さんも時代小説ファンでしたか〜。大谷吉継とはなかなか渋い。いや、今年のは外れましたね。
大体今までもNHK大河は数年に一度いいのがあって、またそのあと数年は駄作が続きますよね。来年が当たり年だったらいいんですけど…再来年のはもう、ハズレが決まったようなもんですし。

あ、ガッ君は店長さんの予想通りです。まあ、謙信と言うよりも長尾景虎ってイメージの方が強いんですが。
これまでも『毛利元就』での恵くん、『北条時宗』の宮迫など、大河で芝居したコメディアンはみな下手な役者よりよかったから、案外彼の芝居、よかったりして?いや、彼はコメディアンじゃないけど。

投稿: よろづ屋TOM | 2006.12.12 03:29

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