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2004.12.26

マスコミが巨匠を殺そうとしている。

 25日の夕刊フジに、『ハウルの動く城』の盛り上がりがどーとか、というネタが載っていた。まんま引用するなら、“「従来の宮崎作品に比べて迫力がない」「色づかいがらしくない」「千尋の時のような盛り上がりに欠ける」などの声も…”だそうだ。
 あいにく筆者はオトナ試写会に漏れ、必ず空いていて観られる初日ラストという盲点タイミングも逃したために結局『千と千尋の神隠し』の時のようにレンタルリリースを待つしかなくなったので未だ観ていない。

 だから憶測でものを言ってはいけないが、この夕刊フジの言いぐさは実に気分が悪い。

 “「原作の英国の児童小説を読まないと、ストーリーが分かりにくかった。『となりのトトロ』や千尋に出てくるようなかわいいキャラクターもいない。63歳の倍賞サンが少女なのも…」(30代の主婦)という見方もある。”

 だが裏返せば、物語が分からないのはこの主婦がニブイからだろうし、この人にとってかわいいキャラが出なかっただけであるし、そもそもなんでアニメだから、宮崎作品だからという理由で可愛いキャラが出ないといけないのか?と思う。
 それに倍賞智恵子さんが63歳で19歳の少女を演ってダメなら、サザエさんのタラちゃんを演じている貴家堂子(さすがたかこ)さんも63歳、イクラちゃんの桂玲子さんも64歳である。逆に“声優界の笠智衆”永井一郎さんは69年の初放送時38歳ですでに波平さん他、いろんな年寄りを演じている。声に年齢などはない。
 お辞めになることが決まったとは言え、67歳の大山のぶ代さんがドラえもん、ましてやしずかちゃんの野村道子さんは66歳、それこそ二代目峰不二子を演じる増山江威子さんは…メーテルの池田昌子さんは…である。「アホぬかせ。」ふざけてはいけない。

 どうせ無知な記者が面白可笑しくするために適当に書いたことだろうが、さすがゴシップ新聞は書く内容の濁り方、眼の曇り方が違う。もしこの主婦が実在だとしても、この記事を見て単純に同調した人はかなり程度が低いと言わざるを得ない。まして偉そうに批評などもってのほかの浅はかさである。

 たしかに筆者も宮崎監督作品には少なからず感銘を受け、先日またまたテレビ放映された『天空の城ラピュタ』でまたまたまたまた感動に涙した“ファン”である。
 しかし反面、監督の作品は本人が認めるように「いつも同じパターン、マンネリですよ」なのである。ファンはそれが好きだからファンでいるのだ。
 大体、“いつもの色使い”とはどういう意味だ。連続ものではあるまいし、映画は毎回作品も内容も違うべきなのに同じ色使いをする方が無能、かえってヘンではないか。

 千尋の時のような盛り上がり…というが、筆者や筆者の知人は口を揃えて『千と千尋』をクソミソとまでいかないにしても、少なくとも世間の褒め言葉に対して正反対の意見であった。
 そう、盛り上がりなど感じなかったのだ。たしかに繊細な作りではあったが、あの作品はそういうスペクタクルの冒険活劇ではない。童話なのだが、むしろいつも通りの丁寧な作りの地味な作品をなんでそこまで褒めちぎるのかと不思議だったほどだ。アホなマスコミが褒めちぎりさえしなければもっとしっとりとした作品として後世高い評価がなされるべき作品である。
 しかしそれこそ、観る人の好みである。どんなに人気のあった名画と呼ばれる映画でも映画俳優でも、嫌いな人は嫌いだし、その逆にどんなZ級映画でも好きな人にはたまらないものだ。
 だから“イイ映画は誰が見てもイイ”なんてしゃあしゃあとほざく評論家は偏見狭量きわまりないヤツだと筆者は思っている。

 さらに夕刊フジにはこう続けてある。“映画評論家の白井佳夫氏は「(前略)『千と…』までの前2作で宮崎監督は飽和点に達した。それでも宮崎作品というだけでありがたがり、批判を許さない“宮崎信仰”がある」と評する。”
 ───っていうか、ご当人自身が『もののけ姫』でとっくにそうおっしゃってるのを、あんたらがいまだに口を揃えてベンチャラゆーてんねやんか。
┐('〜`;)┌ 

 確かに監督に対しての期待は大きい。タブロイド紙なんかの読者に通じる話題になるほど。だが、あの人は『もののけ姫』以前からもう引退を表明していた。
 事実、次世代をになうスタッフにできるかぎりチャンスを与えているし、成果も確実に出てきている。そもそも、業界で若いときから制作面以外でさんざん苦汁をなめ続けてこられた宮崎・高畑氏たちによって、日本のアニメ業界でもちゃんと食える、ちゃんと人材を育成する、そして満足のいく作品を生み出す。スタジオ・ジブリはそのために設立されたと聴く。

 残念ながらジブリの次世代をまずになうべき近藤喜文*氏が『おもひでぽろぽろ』を遺して98年に47歳の若さでこの世を去ってしまったために、いまは宮崎・高畑両巨頭が老骨にむち打って筆頭に立たざるを得ない状態だということなのだろう。

 ジブリは生まれたときからマスコミに騒がれた。マスコミの追い風に巧く乗ってきた。しかし今、マスコミのベンチャラ根性のせいで新人育成の邪魔をされ、世紀の巨匠は殺されかけている。
 つくづく、文化というものはマスコミが育て、殺すものであると実感する。

*近藤喜文氏について(高畑勲・宮崎駿作品研究所「新潟日報」アニメーター近藤喜文より)
http://www.yk.rim.or.jp/~rst/rabo/news/niigatanippou.html

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